2022年10月13日
社会人として社会保険に加入しているものの、社会保険の概要や種類などを詳しく理解できていない方は多いのではないでしょうか。この記事では、社会保険についてわかりやすく解説します。国民健康保険と健康保険、国民年金と厚生年金保険のそれぞれの違い、社会保険に加入する条件やメリットもわかるので、ぜひ参考にしてください。
目次
社会保険とは
社会保険とは、国民の生活を守るために設けられている日本の社会保障制度の1つです。厚生年金保険、公的医療保険、雇用保険、労働者災害補償保険、介護保険の総称で、ケガや病気、失業などのリスクから生活を守る制度です。
社会保険の種類
社会保険には5つの種類があります。ここでは、それぞれの特徴や該当する方について解説します。
1.厚生年金保険
厚生年金保険は、会社員や公務員が加入する公的な年金制度です。支払った厚生年金保険料に応じて、65歳から年金が受給できます。厚生年金保険には、65歳から受給できる老齢年金と、何らかの理由で障害を患った際に受給できる障害年金があります。死亡した際に遺族が受給できる遺族年金も厚生年金保険の1つです。
2.公的医療保険(健康保険)
公的医療保険は、ケガや病気、出産などに必要な治療費の一部を負担してくれる制度です。会社の従業員が加入している健康保険や、個人事業主が加入している国民健康保険などがあります。国民皆保険制度により、日本国民の全員が加入しなければいけません。
3.雇用保険
雇用保険は失業した方に対して、失業から再就職までの期間を支えてくれる保険です。失業保険とも呼ばれており、労働者の職業の安定や雇用機会を増やすなどの目的があります。雇用保険の受給により、失業中も生活資金の心配をせずに就職活動に専念できます。
4.労働者災害補償保険
労働者災害補償保険は、通勤中や就業中にケガや病気、事故や死亡した際に給付される保険です。労災保険とも呼ばれており、医療費や休業期間の補償、障害を負った際の補償などが受けられます。正社員やアルバイト、パートを含むの全ての労働者が加入対象です。
5.介護保険
介護保険は、介護が必要とされる方を支援する保険です。40歳以上の方に加入義務があり、健康保険料とあわせて支払われます。介護保険には、65歳以上の方と40歳から65歳未満の健康保険加入者が加入する公的介護保険と、公的介護保険の不足分を補填したい方や、公的介護保険の対象年齢未満でも、保障が欲しい方が加入する民間介護保険の2種類があります。
国民健康保険と健康保険の違いとは
公的医療保険には、国民健康保険と健康保険の2種類があります。国民健康保険は、主に個人事業主を対象としており、保険料は全額加入者の負担です。年金受給者や扶養に入っていない学生も対象になります。
健康保険は、会社で就業する方を対象としており、保険料は会社と就業する方で負担します。また、アルバイトとパートは、収入によって国民健康保険と健康保険のどちらに加入するかが異なります。
国民年金と厚生年金保険の違いとは
国民年金は、日本に住む20歳から60歳の方に加入義務があり、主に個人事業主を対象としています。農業者や学生、無職の方も対象です。
厚生年金保険は、厚生年金保険適用とされる企業に就業し、要件を満たした方が対象です。厚生年金保険の場合、国民年金の金額に加えて給与に応じた金額が上乗せされるため、年金支給額も高くなります。また、国民年金と厚生年金保険に年金を上乗せする私的年金という制度もあります。
国民健康保険と健康保険を切り替える方法
公的医療保険を切り替える場合、必要となる手続きは異なります。切り替える方法について解説します。
国民健康保険から健康保険への切り替え
国民健康保険から健康保険への切り替えは、正社員として健康保険適用事業所で就業する場合に必要です。また、正社員と同等の労働時間で就業する労働契約を結んだ場合にも切り替えなければいけません。
国民健康保険の脱退は、就業する本人が住所のある市区町村で手続きします。就業する企業が脱退手続きをすることはありません。脱退手続きには、新しい保険証と今までの国民健康保険の保険証、印鑑が必要です。
健康保険から国民健康保険への切り替え
会社を退職した場合、健康保険から国民健康保険への切り替えが必要です。健康保険を脱退する手続きは、就業していた企業が行いますが、国民健康保険への加入手続きは、本人が住所のある市区町村にて手続きを行います。加入手続きには、保険の資格喪失証明書と本人確認のできる証明書、印鑑が必要です。
国民健康保険の加入手続きが遅れても、健康保険の資格喪失日の翌日から保険料は発生するため、注意しましょう。
社会保険に加入する条件とは
適用事業所にて、相当な期間、継続して賃金を受け取っている従業員は、社会保険へ加入できます。詳しい加入条件について解説します。
従業員の場合
社会保険の適用事業所とされている会社で、常用的使用関係であることが認められれば、被保険者とみなされます。雇用契約書の内容にかかわらず、常用的に賃金を受け取っている全ての従業員は被保険者です。適用事業所で就業する従業員が試用期間中であっても、社会保険に加入する対象になります。
社会保険の加入対象者
社会保険に加入できる対象者は以下のとおりです。
- 法人の代表者
- 会社の役員
- 正社員
- 試用期間中の従業員
- アルバイト・パートタイム従業員
- 外国人従業員
アルバイト・パートタイムのように、フルタイム勤務ではない従業員には、加入するために必要な条件があります。詳しくは次で解説します。
アルバイト・パートタイムの加入条件とは
アルバイト・パートタイムの加入条件は以下のとおりです。
- 1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、同じ職場で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上になる方
- 正社員の4分の3未満であっても、下記の条件をすべて満たす方
1.週の所定労働時間が20時間以上
2.就業期間が1年以上見込まれる
3.月額賃金が8.8万円以上
4.学生以外
5.従業員501人以上の企業に就業していること
2022年から社会保険の適用範囲が拡大
法律の改正により、2022年10月から社会保険の適用範囲が拡大します。適用範囲の拡大により新たに社会保険の適用対象になる方は、以下のとおりです。
- 就業期間が2カ月以上見込まれる
- 従業員数101人以上の企業に就業している
尚、2024年10月には、従業員数51人以上の企業も適用対象となります。
社会保険に加入するメリット
社会保険に加入すると、年金の受給金額が増加し、保険料の負担は減ります。ここでは、社会保険に加入する4つのメリットについて解説します。
将来受け取れる年金が増える
社会保険に加入すると老齢年金が増える理由は、厚生年金の加入により、基礎年金と在職している会社の給与額に応じた厚生年金の2つが受け取れるためです。厚生年金保険料には、国民年金保険料も含まれています。会社で就業した期間に支払う厚生年金保険料が、老齢厚生年金となり、国民年金よりも年金額が増える仕組みです。
遺族年金と障害年金が増える
社会保険の加入により、必要な際に遺族年金と障害年金が増えます。被保険者が、障害要件を満たす障害を患った場合に、障害基礎年金に障害厚生年金が追加され、年金額が増える仕組みです。被保険者が死亡した場合も同様で、遺族基礎年金に遺族厚生年金が追加されます。死亡や障害の保険事故でも、国民年金に比べて年金額が増加します。
会社が保険料を半分負担してくれる
厚生年金保険と健康保険の加入すると、保険料の半分は会社負担になることは、大きなメリットといえます。国民年金と国民健康保険の場合は保険料は被保険者が全額負担です。国民年金と国民健康保険の加入に比べて、保険料が半分になるため、費用の負担が軽減されます。
出産手当金と傷病手当金が受給できる
社会保険に加入するメリットとして、出産手当金と傷病手当金の受給があります。出産や妊娠、業務外のケガなどを理由に休職しなければならない場合は、賃金の3分の2程度の支給額を受給できます。支給期間は最長で1年6ヶ月です。
まとめ
社会保険は、社会生活のなかで起きるかもしれないリスクに備えるための社会保障制度の1つです。社会保険には、将来受け取れる年金受給額が増えたり、会社が保険料の半分を負担してくれたりと、多くのメリットがあります。
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