2024年4月4日
自由度の高い派遣社員として働くか、雇用が安定した正社員として働くか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。派遣社員から正社員へ転職したいと考えている方は、派遣社員と正社員のメリットとデメリットを踏まえて考える必要があります。また、派遣社員と正社員の中間に位置する「無期雇用派遣」の働き方を選ぶことも手段のひとつです。そこでこの記事では、派遣社員と正社員の違いについて解説します。派遣社員から正社員への転職方法や、無期雇用派遣という中間的な働き方についてもご紹介しますので、両者の違いを理解し、ご自身に合った働き方を選びましょう。
目次
派遣社員と正社員の違い
派遣社員と正社員の最も重要な違いは、「社員であるか否か」です。派遣社員は実は社員ではありません。
派遣社員とは?
派遣社員とは、人材派遣会社と雇用契約を結び、他の企業に派遣される社員です。実際に働く企業との雇用関係はなく、あくまで派遣会社と雇用関係にあります。そのため、派遣先の実際に働く企業の社員ではありません。派遣先の企業にとっては、派遣会社に対して即戦力の人材を外注しているということになります。企業側としては、必要なときに必要な労働力を確保するための、有効な手段です。
続いて、派遣社員として働くメリット・デメリットを紹介します。
派遣社員のメリット
・これまでのキャリアを活かせる
派遣社員は紹介時に業務内容の詳細な説明を受け、自分のこれまでのキャリアや持っているスキルを活かした仕事を選べます。
・自分らしいスタイルで働くことができる
勤務地・勤務時間・期間などの条件が自分とマッチしている仕事を選べるので、自分のライフスタイルに合わせて働けます。
派遣社員のデメリット
・雇用が安定していない
契約期間が終わるたびに、更新か契約終了となるかが決まります。
・収入が安定していない
派遣社員の交通費は自己負担のケースが多いです。また、派遣社員の給与は基本的に時給計算のため、祝祭日が多い月の月給は減ります。
・責任ある仕事は少ない
派遣社員は派遣先企業からの指揮命令にもとづいて働くため、立案や責任ある仕事を任せてもらえるケースは少ないです。
正社員とは?
正社員とは、正規雇用で雇われた労働者を指します。一般的に「社員」といった場合に、想像するのは正社員でしょう。
正社員のメリット
・雇用の安定している
雇用期間が定められておらず、基本的に定年まで働ける場合がほとんどです。よほどの理由がなければ、会社は正社員をクビにできません。
・賞与や退職金がある
派遣社員には賞与や退職金がありませんが、正社員には支給されるケースが一般的です。
・昇給、昇格の機会が多い
正社員は、長く勤めれば勤めるほど昇給する場合がほとんどです。派遣社員に比べると、仕事の実績が評価されると昇格し、役職に就く機会に恵まれています。
・福利厚生が充実している
正社員の方が、派遣社員より通勤手当やスキルアップ制度などの福利厚生が充実しています。
正社員のデメリット
・異動や転勤がある
派遣社員は勤務地や業務内容の条件で仕事を選ぶため、条件外の転勤などはありません。
一方で正社員は契約内容にはよりますが、異動や転勤の可能性も高くなります。
・雇用される確率が低い
非正規社員と比較して、正社員は雇用される確率が低い傾向があります。
・時給換算すると低い場合もある
月給を時給換算すると、非正規社員より低くなる場合もあります。
・自分のやりたい仕事ができるとは限らない
派遣社員は、あらかじめ定められた条件の仕事に取り組みます。一方で、正社員はさまざまな仕事を任される確率が高く、自分の希望通りの仕事ができるとは限りません。
派遣の種類
派遣の種類は「一般派遣(登録型)」「紹介予定派遣」「無期雇用派遣(常用)」「特定派遣」です。
ここからは、4つの働き方の概要とメリット・デメリットについて解説します。
一般派遣(登録型)
一般派遣とは、働く期間だけ派遣会社と契約を結ぶ形態です。派遣契約は1ヶ月~半年程度が大半ですが、最大で3年まで延長できます。契約の更新は3ヶ月ごとに行われ、双方の同意をもって更新するか決めます。派遣先企業が変わるたびに、新たに契約をしなければなりません。
紹介予定派遣
紹介予定派遣とは最長6ヶ月の派遣期間が終わった後、本人と派遣先企業が合意すれば正社員になる働き方です。派遣期間で仕事内容や職場環境を理解した上で、安心して働き続ける環境を探したい方に向いています。
無期雇用派遣(常用)
無期雇用派遣とは、派遣会社と無期限の雇用契約を締結した雇用形態です。
無期雇用派遣は派遣会社と無期雇用契約を結ぶため、あくまで正社員とは異なります。ただし、正社員のように月給制になり、休業手当を受けられるメリットがあります。一方で、派遣社員のメリットである、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方はできません。
無期雇用派遣の詳しいメリット・デメリットは、以下の記事をご覧ください。
【社労士監修】無期雇用派遣のメリット・デメリット
派遣の業界や業種
2023年の一般社団法人日本人材研究センターの調査によると、派遣社員が働く業界の上位は情報通信業(17.9%)製造業(17.4%)卸売・小売業(9.2%)でした。2022年度の調査に引き続き、人手不足が続く情報通信業・製造業が上位を占めています。
上位の業界以外にも、金融やマスコミなど人気の業界で派遣社員として働くチャンスがあります。
以前、派遣の業種は正社員と区別されており、単純作業が多い傾向にありました。しかし現在では、業種の多様化によって、正社員のように幅広い業種を担当するケースが増えています。
同調査では、上位の業種はOA事務(32.2%)庶務事務(9.3%)その他オフィス業務(9.1%)でした。OA事務(Office Automation:オフィス オートメーション)とは、ExcelやWordなどを使った事務です。2022年の調査に続き、事務系の業務が派遣に任される業種の上位を占めています。
バックオフィスの業務が上位を占めていますが、下位には倉庫内作業(2.4%)受付・案内(2.2%)なども業種もあり、さまざまな業種で派遣社員が活躍していることが分かります。
※参考:一般社団法人日本人材研究センター「派遣社員WEBアンケート調査結果 2023年度」
登録から就業までの流れ
派遣の登録から就業までの流れは、以下の通りです。
- 派遣会社に登録
- 登録会に参加
- 職場見学
- 派遣先企業の決定
- 就業
まず、派遣会社に登録し、マイページに職歴やスキルなどを入力します。マイページは、スマートフォンから、フォームに入力するだけで簡単に作成できるようなシステムを使っている派遣会社がほとんどです。
登録会では、仕事の経験や希望条件などをスタッフに伝えます。マンパワーグループでは、来社による登録(来社登録会)のほか、来社不要で30分で完了する電話登録会を実施しています。仕事のミスマッチがないように、ちょっとした要望も伝え、不明点や不安なことを相談しましょう。
登録会参加後に、メールや電話で応募した仕事の詳細な解説や、希望にマッチする仕事の紹介を受けます。以下の内容を担当者から伝えられるため、働く姿をイメージしやすいでしょう。
- 時給
- 勤務時間
- 休日
- 職場の環境
- 一緒に働く方の情報
就業希望する派遣先企業とマッチングできたら、職場を見学します。職場見学では、担当者が同行し、職場環境や仕事内容を確認して、不明点を取り除きます。派遣先企業に聞きにくいことがあれば、派遣企業の担当者に代わって質問してもらいましょう。なお、派遣先企業によっては、職場見学がない場合もあります。
職場見学の後、最終的な就業意思を派遣会社の担当者に伝えてください。社会保険は就業時に派遣先企業の要件を満たしていれば、加入できます。
派遣会社により異なりますが、有給は業務を開始してから6ヶ月経過後に発生します。
お仕事開始後は、職場環境や業務に早くなじめるように引き続きサポートいたします。
派遣という働き方が向いている人とは?
仕事内容や働くスタイルなど労働に求めるものは、人それぞれ異なります。ここでは、派遣という働き方に向いている人の特徴を解説します。
プライベートの時間も大切にしたい
「仕事とプライベートをきちんとわけたい」「自由な時間も欲しい」という人は派遣の働き方に向いています。派遣社員は派遣期間や勤務時間が決められているので、業務内容の急な変更や想定外の残業などがありません。業務を決まった時間に終わらせて、仕事後や休日には、趣味や習い事などプライベートな時間を大切にできます。
育児や介護、勉強と仕事を両立させたい
派遣の働き方は、家事や育児、介護などで勤務時間が限定されたり、資格取得のための勉強時間も確保したかったりする人にも向いています。家庭や学業を加味した働き方を希望するといった自分の状況を事前に伝えておけば、派遣会社が希望に合わせた仕事をマッチングしてくれます。
副業として働きたい
派遣社員として働く人の中には、副業や兼業をする人も少なくありません。もう少し稼ぐために、本業とは別に副業として派遣を選ぶ方もいます。本業が休みの日に、空いた時間を有効活用するときも派遣の働き方はおすすめです。柔軟な働き方を選択できる派遣の仕事は、Wワークにぴったりの働き方といえます。
自分のスキルを活かしたい
派遣の仕事は、前職や本業で培った経験やスキルを活かせます。派遣先企業でも、即戦力となる人材を歓迎しています。派遣はこれまでのキャリアをさらに広げていきたい方にも向いている働き方といえるでしょう。資格やスコア、これまでの経験を具体的に説明できると、派遣会社が希望に合った仕事を紹介しやすくなります。
多種多様な職場でスキルアップできる
正社員雇用の倍率が高いメーカーや、マスコミといった業界でも、派遣社員であれば求人があります。正社員で憧れの業界に就職できない場合、派遣社員でスキルアップや経験を積むことができます。
派遣社員を募集している企業は、大企業からベンチャー企業までさまざまです。数多くの企業で経験を積むことによって、ご自身に合った企業規模や形態を理解できるでしょう。
派遣社員から正社員になる方法
派遣社員として働いているが、待遇の良さを知って正社員になりたいと思う方もいるでしょう。ここでは、派遣社員から正社員になる方法を2つご紹介します。
紹介予定派遣を狙う
前述した紹介予定派遣は、一定期間派遣社員として働くことで、職場環境や業務内容を理解できます。派遣先企業との「想像と違った」「相性が悪かった」といったミスマッチを防げるため、長く働ける会社を見つけやすいでしょう。
また、派遣期間内で仕事へのやる気やご自身のスキルをアピールでき、実務経験が少ない場合でも、正社員になれるチャンスがあります。
紹介予定派遣に関する詳しい解説は、以下の記事を参考にしてください。
【紹介予定派遣とは?】派遣との違いやメリット・デメリットをご紹介!~正社員を目指す~
転職活動する
具体的な希望業界・希望企業で正社員として働きたいと考えている場合には、転職活動をするほうが早く就職できる可能性があります。派遣社員時代に培ったスキルによっては、面接で高評価を受けることも少なくありません。もちろん、人気企業の正社員枠は、転職活動の難易度が高くなるのも事実です。
派遣会社のサポート
派遣会社に登録すると、以下のような求人紹介だけでなく就業後のフォローまで、さまざまなサポートを受けられます。マンパワーグループでは、キャリアアップサポートとして、下記サービスを提供しています。
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また派遣社員は、みなし残業や職場環境、職場の人間関係といった、派遣先での悩みを派遣会社の担当者に相談できます。派遣会社の担当者から派遣先企業に相談内容を伝えてもらい、問題解決できるケースもあるでしょう。
さらに、派遣社員は派遣期間終了後、担当者と将来のキャリア設計を相談しながら、次の仕事探しのサポートをしてもらえます。
まとめ
派遣社員と正社員の違い、それぞれのメリット・デメリットについて解説しました。さらに、正社員を目指す場合に活用したい「紹介予定派遣」や正社員と派遣社員の中間的な働き方である「無期雇用派遣」にもそれぞれメリット・デメリットがあります。ワークスタイル・キャリアプランをよく考えて、ご自身に合った働き方を見つけてください。
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