働き方改革の観点からワークライフバランスに注目し、派遣社員として働くことを検討する人が増えています。そして誰もが気になることは、派遣社員の給料ではないでしょうか。この記事では、派遣社員の給料相場について解説します。派遣のしくみや給料支払いの方法、実際の手取り額についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
派遣社員の給料はどれくらい?
派遣社員の給料はどのくらいなのでしょうか。以下で詳しく解説します。
派遣社員の平均賃金と平均年収
厚生労働省が令和4年3月に発表した、令和2年度の「労働派遣事業者報告書」によると、派遣労働者の1日当たり(8時間/日として計算)の平均賃金は約15,000円でした。年間の就業日数を令和2年分民間給与実態統計調査 国税庁240日と仮定すると、平均年収は約374万円という計算になります。
ただし、ここで取り上げた金額は全国平均です。東京・愛知・大阪などの三大都市圏とそれ以外の地域では、給料が大きく異なる場合があるため、地方在住の方は注意してください。
※参考:労働者派遣事業報告書集計結果(速報値)厚生労働省
派遣社員と正社員の給料差は?
派遣社員と正社員では、給料にどのくらい差が生じるのでしょうか。国税庁が令和3年9月に発表した「令和2年分民間給与実態統計調査」と、前述の派遣の給料をもとに、差額を計算してみました。
民間給与実態統計調査では、令和2年度に正規雇用の社員に支払われた賃金を約496万円としていました。一方で、派遣社員の平均年収は約374万円のため、正社員と派遣社員の給料には年間約122万円もの差があることがわかります。
※参考:民間給与実態統計調査 国税庁
給料が高い派遣職種は?
派遣社員は職種によっても給料が異なります。では、どのような職種で給料が高いのでしょうか。株式会社リクルートジョブズリサーチセンターが発表した調査結果をもとに、月給を算出してみました。
なお、この調査はリクナビ派遣に掲載された求人情報をもとに集計されています。派遣全体の給料をもとに計算されたものではないため、参考程度にとらえてください。
職種 |
時給 | 月給(8時間/日、20日稼動/月) |
オフィスワーク系 |
1,592円 | 254,720円 |
営業・販売・サービス系 |
1,484円 | 237,440円 |
IT・技術系 |
2,147円 | 342,880円 |
クリエイティブ系 |
1,836円 | 293,760円 |
医療介護・教育系 |
1,509円 | 241,440円 |
ご覧のように、IT・技術系やクリエイティブ系など、専門知識や技術が必要な職種ほど給料が上がりやすいことがいえるでしょう。
※参考:2022年2月度 派遣スタッフ募集時の平均時給調査 株式会社リクルート ジョブズリサーチセンター
派遣社員の地域別の給料は?
派遣社員の給料は、職種だけでなく地域によっても変わってきます。特に、東京・愛知・大阪の三大都市圏とそのほかの地域では開きが大きいです。一般社団法人日本人材派遣協会が発表した「2021年度のWebアンケート調査」によると、三大都市圏の派遣社員の平均時給は1,608円で、それ以外の地域の派遣社員の平均時給は1,328円でした。
※参考:2021年度 派遣社員WEBアンケート調査結果 一般社団法 人日本人材派遣協会
派遣のしくみは?
そもそも派遣はどのような働き方なのでしょうか。派遣とは、派遣会社と雇用契約を交わし、派遣された派遣先の会社で実務を行う雇用形態です。つまり派遣社員は「雇用契約を結んだ会社とは別の会社で働く労働者」となります。以下で派遣の形式と給料支払いの方法を解説します。
一般派遣と紹介予定派遣
派遣社員には、「一般派遣」と「紹介予定派遣」という形態があります。どちらも派遣元である派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の会社で働く点では同じですが、ふたつの大きな違いは契約期間と期間満了後にあります。契約期間は一般派遣が最長で3年間であることに対し、紹介予定派遣の派遣期間は最長で6ヶ月です。
ただし、紹介予定派遣は期間満了後に派遣先会社と派遣社員との合意のもと、正社員や契約社員といった直接雇用を前提としています。正社員などを目指すなら、紹介予定派遣を選択するとよいでしょう。
給与支払いの方法
月給制の正社員に対して、派遣社員は時給制で給与が支払われることが多くあります。一般的に、1ヶ月ごとに月末で締めて翌月の指定日に就業時間に応じた給料が支払われます。ただし給料の支払いは、派遣先企業の給料日ではなく、雇用元である派遣会社が指定した給料日になります。
給料日は一般的に毎月15日、25日、末日などが多いです。給料日が土日祝日に掛かる場合は、休業日の前日に支払われます。心配な方は派遣契約の内容を確認することをおすすめします。
派遣の手取り給料は?
ここまで解説してきた派遣社員の給料は「額面」の給料です。では、派遣社員の手取りの給料はどのくらいになるのでしょうか。また時給が上がった場合、月給の手取りはどの程度増えるのでしょうか。以下で解説します。
手取り給料とは
そもそも手取り給料とは、給料全体から各種社会保険や所得税などの税金を差し引き、実際に受け取る金額を指します。これに対し、控除される前の給料全体のことを額面給料(額面)と呼びます。手取り給料が知りたい場合は、派遣会社より発行される給与明細書を確認してみてください。
一般的な給与明細書では、「差し引き支給額」「銀行振り込み額」などと表記されている金額が手取りの月給になります。
手取りはどのくらい?
派遣社員の手取りはどのように計算すればよいのでしょうか。額面から健康保険や厚生年金保険、雇用保険、所得税を差し引いた分が手取り給料になります。正社員の場合と異なり、給料から住民税が引かれないことが多いため、確定申告などの際は注意しましょう。手取り給料を計算する方法は複雑です。
社会保険料と所得税は給料の額だけでなく、扶養家族の有無などの個人の家族構成によっても等級や税率が変わります。扶養家族がいない場合の手取り給料のおおよその計算方法は、一般的に社会保険料と所得税の合計が「額面給料の約15%程度」とされています。
つまり、額面給料から15%分を引いた0.85を掛ければ、おおよその手取り給料が判明するため、概算を把握したい場合に計算してみてください。
給料が増えた場合の手取りはどのくらいか
額面給料が増えた場合、手取りはどの程度増えるのでしょうか。例として、時給が1,500円で1日8時間労働、月間20日稼動するとして、時給が180円アップした場合の計算をしてみましょう。まずは、給料がアップする前の金額を計算します。
額面の給料は、
時給1,500円×8時間×20日=月給240,000円
手取り給料は、社会保険料と所得税(額面の約15%)を引いた額のため、
月給240,000×0.85=手取り月給204,000円
手取りの月給は、約204,000円になります。では時給が180円アップした場合について計算します。
額面の給料は、
時給(1,500+180)円×8時間×20日=月給268,800円
手取りの給料は
月給268,800×0.85=手取り月給228,480円
差額は、
228,480円-204,000円=24,480円
時給が180円増えると、月の手取りで約24,480円増えることになります。あくまでおおよその額なので、参考程度としてください。
まとめ
令和2年度の派遣社員の全国平均年収は約374万円でした。専門性が高い職種ほど給料が高く、三大都市圏とそれ以外との地域差は、年収にして約54万円になります。派遣社員の給料は人材派遣会社から支払われ、月末締め翌月給料日支払いであることが一般的です。また手取り給料は、住民税が引かれないことが多いため注意しましょう。
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