2024年4月4日

直接雇用と聞いても、派遣との違いがわからない方も多いでしょう。この記事では、派遣社員と直接雇用の違いや正社員になる方法、派遣社員の契約期間に関する「人で3年ルール」について解説します。最後までお読みいただければ、理想のキャリアに近づくための働き方を理解できるでしょう。
目次
派遣と直接雇用とは
直接雇用とは、派遣先企業と直接契約を結んで働くことです。派遣先企業から派遣会社を通して直接雇用の申し込みがあったときに、契約を変更できます。
直接雇用の具体例は、正社員やアルバイトといった働き方です。なお、派遣会社を通さずに直接雇用の提案があった場合はルール違反となるため、派遣会社に相談しましょう。
一般的な派遣 | 直接雇用 | |
雇用先 | 派遣会社 | 派遣先企業 |
契約期間 | 最長3年 | 長期間 |
業務内容 | 契約の範囲のみ | 制約なし |
勤務時間 | 希望通り | フルタイム |
派遣と直接雇用の大きな違いは、雇用先企業です。直接雇用は雇用期間の制限がなく、雇用先企業のルールに合わせた勤務時間で働きます。
詳しい派遣社員と正社員の違いは、以下の記事でご確認ください。
派遣社員と正社員の違いとは?それぞれのメリット・デメリットを解説!
派遣法3年ルールとは
2015年9月の労働者派遣法改正によって、派遣社員は、同じ組織で勤務する期間は3年までと定められました。期間制限は個人ごとに決められているため「人で3年ルール」といわれています。
労働者派遣法について
個人単位の期間制限について
派遣社員の個人単位の期間は人で3年です。人で3年とは、派遣先企業のグループや課など同じ組織で働ける期間が3年までというルールです。
3年過ぎると「同じ派遣先企業の同じ組織」で派遣社員として働けません。派遣会社(派遣元)は、同じ派遣先企業の同じ組織に3年以上就業が見込まれていた時点で、雇用を継続するために他の派遣先を紹介する準備を進めます。
個人単位の期間制限の適用外
以下に該当する人は「人で3年ルール」における個人の期間制限がありません。
- 派遣会社に無期雇用されている人
- 60歳以上の人
無期雇用派遣とは、派遣会社と期間を設けずに雇用契約を結ぶ働き方です。
また、上記に該当しない人であっても、次の業務を担当している方や以下の従業員の代わりとして働いている方は3年ルールの適用を受けません。
- 期限がはっきりしている有期プロジェクト
- 日数限定業務
- 産前産後休業、育児休業、介護休業等で休業している人の代わりに働く場合
日数限定業務とは、1カ月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10日以下である業務です。
3年ルールにおける「雇用安定措置」
派遣先へ直接雇用を依頼する
3年間働いたあとも引き続き同じ派遣先企業での勤務を希望する場合は、派遣会社から派遣先企業へ直接雇用の依頼が義務付けられています。ただし、派遣先企業は必ずあなたを雇用しなくてはならないという意味ではありません。
そのため、派遣期間制限の3年を迎えても勤務を続けたい場合は、派遣先企業に直接雇用を目指していることを伝える姿勢がみせましょう。たとえば、積極的に派遣先企業の仕事に取り組む、派遣先企業での仕事に役立つ資格を取得する、スキルアップのために派遣会社の研修を受けましょう。
新たな派遣先企業を紹介する
派遣先企業へ直接雇用を依頼しても、派遣先企業に雇用されなかった場合、経験やスキルにもとづき、派遣会社が新たな派遣先企業を紹介します。
派遣会社が「無期雇用派遣」として採用する
無期雇用派遣は、派遣会社との契約期間の制限がないため、安定した収入を得られます。
たとえば、派遣先企業で働いていない期間も雇用契約は継続され、給与や休業手当が支払われます。なかには、派遣先企業での募集とマッチしない場合に、派遣会社の社内で働くケースも珍しくありません。しかし、派遣先企業を選べないため、希望する働き方ができなくなる可能性があります。
安定した雇用の継続を図るために必要な措置を行う
派遣会社は、派遣社員の次の就業が決まるまで、以下の省令に定められた雇用安定措置を行います。
- 派遣会社との雇用契約を継続したまま休暇として有給消化をする
- 派遣会社の福利厚生サービスである教育訓練を受ける
教育訓練の内容は、業務に役立つ資格の取得が例として挙げられます。
派遣から直接雇用になるメリット
派遣から直接契約になると、以下のメリットがあります。
- 雇用が安定する
- 業務の幅が広がる
- 待遇面での格差が改善される
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
雇用が安定する
直接雇用は派遣やパート、契約社員とは異なり、契約期間の定めがないため雇用が安定します。長期間にわたって働けるため、収入が安定するでしょう。
業務の幅が広がる
派遣会社との契約上、派遣社員は契約した業務以外に携われません。一方で、直接雇用となれば業務の制限はほとんどなく、幅広い仕事にチャレンジできます。さまざまな業務に携わって企業理解を深めるだけでなく、スキルアップにつながることもあるでしょう。
待遇面での格差が改善される
企業によって、直接雇用になるとボーナスや定期代の支給がされます。直接雇用された企業の福利厚生が適用されるため、仕事に関する関連書籍を経費で購入できたり、資格試験の補助金が出たりする可能性があります。なお、2020年4月、同一労働同一賃金のルールが施行されたため、賃金の格差は小さくなっています。
派遣から直接雇用になるデメリット
派遣から直接契約になることを考えているときは、以下のデメリットを踏まえたうえで検討しましょう。
- 働き方の自由度が下がる
- 収入などが下がる可能性がある
- 待遇が必ず良くなるとは限らない
- 仕事が辞めにくくなる
それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
働き方の自由度が下がる
直接雇用では、派遣社員として働いていたときの条件では、勤務できない可能性があります。直接雇用になる場合、就業先企業の条件に応じなければならないためです。たとえば、派遣から直接雇用になると、勤務時間や休日が変更になるケースがあります。
収入などが下がる可能性がある
直接雇用の場合、残業が発生したり、別の勤務地へ出張したりする可能性があります。額面は上がっても、場合によっては時給換算が下がるかもしれません。
待遇が必ず良くなるとは限らない
派遣会社に比べて就業先企業の福利厚生制度が整っていなかった場合、待遇が下がる可能性があります。直接雇用になる際は福利厚生制度を確認し、どのような待遇に変わるのか確認しましょう。
仕事が辞めにくくなる
直接雇用になると、派遣社員だったときよりも責任のある仕事を任されることが多くなります。職場が合わないと感じても、仕事への責任感から辞めると言い出しにくいこともあるでしょう。
また、派遣社員のときは、契約している派遣会社に辞めたいと話すだけで済みます。しかし、直接雇用では上司に直接伝えるため、言い出しにくいこともあるかもしれません。
派遣から直接雇用になる際のチェックポイント
派遣から直接雇用になるときは、以下のポイントをチェックしてください。
- 雇用条件
- 派遣会社の退職の仕方
それぞれチェックする内容やタイミングを解説します。
雇用条件を確認
派遣先企業から直接雇用の申し出があった場合、以下の雇用条件を確認しましょう。
- 雇用形態
- 就業場所
- 勤務時間
- 賃金
- 休日
- 残業時間
- 業務内容
直接契約は、正社員以外にも契約社員やパートといった働き方もあります。契約書を締結する前に、ご自身の希望する働き方と相違ないかチェックしましょう。
また、正社員の場合、派遣社員のときよりも幅広い業務を担当することがあります。どのような業務を行うのか担当者に質問し、自分の認識と間違いがないか確認してください。
派遣会社の退職の仕方を確認
直接雇用に変更する場合、派遣会社との契約を解除する必要があります。契約更新のタイミングや退職願の書き方などを調べましょう。派遣会社を辞めることを伝えるときに、有給がどれくらい残っているのか確認してください。派遣社員は派遣会社に6カ月以上勤務していると、有給休暇が付与されます。
有給を消化する際には、直接雇用に切り替わる前に、こまめに有給を消化しましょう。派遣会社を退職するタイミングでまとまった日数の有給を取得すると、勤務先の従業員に迷惑をかけてしまうかもしれません。
派遣から直接雇用を目指す方法
派遣から直接雇用を目指す方法は、以下の4つです。
- 紹介予定派遣として就業する
- 正社員登用支援を受ける
- 人材紹介サービスを利用する
- 常用型派遣を選ぶ
それぞれの方法について解説します。
紹介予定派遣として就業する
紹介予定派遣とは、一定期間にわたって派遣先企業で働いたあとに、直接雇用に切り替えることを前提とした派遣です。企業によって異なりますが、約3~6カ月にわたって派遣先企業で働き、派遣先企業と派遣社員の双方の同意が得たうえで、直接雇用に切り替えます。
企業で実際に働いてから直接雇用をするか選べるため、会社とのミスマッチが少なくなります。また、企業も直接雇用を前提として考えているため、正社員へ登用されやすいでしょう。
正社員登用試験を受ける
派遣社員から直接雇用になる場合、正社員登用試験を受けなければならないケースがほとんどです。正社員登用を前提とした紹介予定派遣でも、試験が実施されることがあります。
正社員登用試験では、簡単なレポートの実施や面接を行います。面接で質問される項目は、志望動機や業務内容に関する知識、キャリアプランなどです。面接の予行練習を行い、準備を整えたうえで面接に挑みましょう。
人材紹介サービスを利用する
エージェントと呼ばれる人材紹介サービスを利用して、正社員を目指す方法があります。20代専門や初めての正社員になる方向けに特化したエージェントがあるため、ご自身に合った人材紹介サービスを利用してください。
自分に合ったサービスを展開しているエージェントに登録し、求人の紹介や転職サポートを受けましょう。
無期雇用派遣を選ぶ
派遣会社との雇用期間が通算5年を越えた場合、派遣社員が希望すれば、派遣会社で無期雇用派遣に切り替えられます。
無期雇用派遣を検討している方は、M-Shineをご利用ください。M-Shineは、土日祝日休みや残業少なめの求人を数多く掲載しています。充実した研修制度を用意しているので、初めて無期雇用派遣デビューする方にもおすすめです。
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抵触日のリセットについて
抵触日とは、派遣期間の制限である3年を過ぎた日の翌日です。就業しない空白の期間を設ければ、抵触日までのカウントをリセットできます。
空白の期間でリセットされるがオススメしない
派遣期間の抵触日を迎え、派遣先企業での派遣契約が終了したのち、クーリング期間と呼ばれる空白の期間が「3カ月と1日以上」あれば、派遣期間のカウントがリセットされます。リセットされれば、同じ派遣先企業の同じ組織で、再び3年を限度として働けます。
しかし、抵触日までのカウントリセットはオススメしません。クーリング期間の収入は不安定になり、同じ職場に戻れる保証は全くないためです。
派遣会社を変えればリセットできる?
派遣会社を変えても「人で3年ルール」の抵触日はリセットされません。同一の派遣労働者に対する3年ルールのため、派遣会社を変えても同じ人であれば、抵触日までのカウントは通算されるためです。
まとめ
派遣社員と直接雇用の主な違いは、雇用先企業と契約期間です。直接雇用は雇用が安定するメリットがありますが、待遇が良くなるとは限りません。一方で、派遣社員は派遣社員のような自由な働き方を選べますが、同じ組織で働ける期間は3年までと定められています。
派遣社員は3年の期間制限を迎える前に、今後のキャリアをどのように築くのか考えておきましょう。キャリアを考えるときは、キャリアカウンセリングを活用して、3年後の選択肢の幅を拡げましょう。求人を探している場合は、JOBNETをご利用ください。一人ひとりに合った仕事を専任のスタッフが紹介します。
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