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貿易事務とは?
仕事の内容や、アピールできるスキルなどを解説します

2024年9月19日
 
人事,HR

  

貿易事務の仕事に興味があっても、仕事内容や必要なスキルがわからない方も多いでしょう。この記事では、貿易事務の仕事内容や必要なスキル、活かせる資格について解説します。
 
最後までお読みいただければ、貿易事務の仕事の概要を理解し、ご自身の活かせるスキルを見つけられるでしょう。

目次


貿易事務とは

 
貿易事務とは、海外から製品を輸入する際や海外へ輸出する際に必要な事務手続きを担う仕事です。海外との取引は、国内の貿易に比べて専門的な事務処理が必要になります。また、海外とのやりとりがあるため、語学力が不可欠です。
 

事務職のなかでも特に専門性の高い仕事

一般的な事務職のイメージとは異なり、貿易事務は専門性の高い仕事です。輸出通関書類の作成や通関の手配、関税・消費税の納付などをおこなうため、貿易に関する専門知識が必要になります。
 
また、輸出入に関する英文書類の作成や書類のチェックなどの仕事もあり、円滑にコミュニケーションが取れるレベルの英語力が不可欠です。社内の人だけでなく、担当業務によっては社外関係者への連絡やスケジュール調整などの業務もおこなう場合があり、コミュニケーション能力も求められます。
 

主な就業先

貿易事務の主な就業先は、商社やメーカー、国際物流、フォワーダー(貨物利用運送事業者)、船会社、物流業者などです。輸出や輸入に関わる企業において貿易事務は欠かせない存在であるため、幅広く活躍できるフィールドがあります。
 

貿易事務の仕事内容について

 
貿易事務の仕事には大きく分けて「輸出業務」と「輸入業務」の2つがあります。それぞれの業務について詳しく解説します。
 

輸出業務

輸出業務では、以下のようなさまざまな業務をおこないます。
 

業務 業務内容
貿易書類の作成・手続き 以下の書類の作成・手続きをおこなう。
・インボイス
・パッキングリスト
・船荷証券
・信用状
輸出通関手配 通関とは、税関に対して輸出輸入の申告をして許可を得る手続きを指す。商社やメーカーの通関手配は、倉庫業者やフォワーダーなどの代行してもらえる会社に依頼するケースも多い。
運送便の手配 工場からお客様に届けるために、飛行機や船、トラックなどの輸送手配をおこなう。輸出通関手配と同様に、倉庫業者やフォワーダーなどに依頼するケースが一般的となっている。
倉庫の手配 輸出した商品を管理するために倉庫の手配をする。
工場への出荷依頼 商品の個数や発送日程などを工場に連絡し、出荷を依頼する。
スケジュール調整 天候や交通事情に合わせて、お客様の納期が変わらないように、配送手段や出荷のタイミングの調整などをおこなう。
電話・メール応対 お客様からの注文の問い合わせや発注依頼などのさまざまなやり取りをする。

 
海外の取引先と外国語でやり取りすることを「コレポン」(Correspondenceの略)と呼ぶため、貿易事務の仕事に就く場合は覚えておくとよいでしょう。
 
貿易事務が作成・手続きをする貿易書類の内容や使用するタイミングは、以下のとおりです。
 
書類 概要
インボイス(商業送り状・Invoice) 輸出する商品の品名や価格、個数などが記載された書類
パッキングリスト(梱包明細書・Packing list) 輸出する貨物の個数や容積、重量などが書かれた書類
船荷証券(Bill of Lading・B/L) 貨物の引渡しのときに必要になる書類
信用状(Letter of Credit・L/C) 輸入代金を補償してもらうための書類

 
信用状は、輸入地の銀行が条件を満たした場合に、輸出者に対して輸入代金を支払うことを確約するために発行します。信用状によって輸出代金を回収する取引を、信用状の買い取りといいます。
 

輸入業務

貿易事務がおこなう輸入業務は、以下のとおりです。

貿易書類の作成
輸入通関の手配
運送便の手配
倉庫の手配
消費税・関税の納付
 
輸入業務は、輸出業務の逆の流れで進みます。輸入した商品は保税地域に保管され、受け取るときに関税や消費税を支払います。保税地域とは、税関の手続きが完了していない荷物を保管する場所です。

輸入消費税は、一般的な国内の消費税とは異なる方法で計算するため、貿易事務の専門分野のひとつといえるでしょう。

また、3ヵ国間で貿易をおこなう「三国間貿易」をする場合は、輸出者と輸入者である2国間の仲介者として、決済や事務手続きをおこないます。輸入と輸出企業の間で調整しながら進めるため、2国間貿易よりもスケジュール調整がより重要になります。
 

その他の主な業務

その他にも、郵便物の発送や仕分け、備品管理、来客担当などの一般的な事務作業をおこなう場合があります。小規模な企業の場合は、貿易事務と一般事務を兼務するような幅広い仕事が経験できるため、マルチに活躍したい方には向いているでしょう。
 

担当業務は就業先によって異なるため必ず確認する

貿易事務は、業種や企業の規模によって取引の内容や手順、担当業務が大きく異なります。大企業の場合は業務が細分化されており、商品の受注・発注業務のみを担当するケースもあります。
 
一方で、小規模企業の場合は商品の受注と発注だけでなく、倉庫の手配や通関手続き、船積み手続き、代金の回収、クレーム処理など、取引に関わるさまざまな業務を担当するケースも珍しくありません。転職する際は自分が希望する業務を担当できるのか、事前に仕事内容を確認しましょう。
 

貿易事務の給与は?

 
貿易事務の給与は、以下のとおりです。
 
正社員の年収:312万円
派遣社員の時給:1,550円
 
正社員の年収を賞与無しと仮定して計算すると、月収は26万円になります。1日8時間、月20日勤務と仮定した場合、派遣社員の月収は24万8,000円、年収は297万6,000円です。

ほかの事務職の正社員の年収と、派遣社員の時給は以下のとおりです。
 

職種 正社員の年収 派遣社員の時給
一般事務 316万円 1,350円
医療事務 338万円 1,344円
営業事務 350万円 1,436円
OA事務 306万円 1,499円
経理事務 338万円 1,316円

 

ほかの事務職に比べると、正社員の年収が低いことがわかります。しかし、全体の給与幅は319~916万円と広いため、スキルを磨けば年収を上げられるでしょう。特に貿易事務は専門知識が必要とされる業務のため、経験を増やすほど活躍できます。
 
貿易事務で働いている方のうち、正社員は83.0%、派遣社員は17.0%です。大卒が71.7%いる一方で、高卒も22.6%いることから、学歴に関わらず活躍し、給与を上げていけると考えられます。

ほかの事務職の年収や業務内容を詳しく知りたい方は、以下のリンクからご確認ください。
職種一覧【働き方ガイド】

参照:貿易事務の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)貿易事務 LinkIcon
 

貿易事務に活かせるスキルやキャリア

 
貿易事務に活かせるスキルやキャリアは、以下のとおりです。

語学力
事務処理能力
コミュニケーション能力
輸出入や貿易に関する専門的知識

それぞれ活かせる内容について詳しく解説します。
 

 語学力

貿易事務の仕事では、取引先とのやり取りで主に英語が使用されるため、語学力は重要なスキルのひとつです。輸出入に関する英文書類を作成できるレベルのライティングスキルと、担当部署によっては英会話のスキルも必要になります。

英語だけでなく複数の言語に詳しいと、就職に有利にはたらきやすいといえます。英語のほか、中国語や韓国語、スペイン語、フランス語など、語学力に自信がある場合は、積極的にアピールしましょう。
 
語学力を活かせる仕事に就きたいと考えている方は、以下の記事を参考にしてください。
仕事で英語を使いたい!でも、どんな職業、求人があるの?
 

事務処理能力

貿易事務の仕事は、貿易を円滑に進めるためにも事務処理能力も不可欠です。基本的なExcelやWordなどのOAスキルや資料作成のスキル、メーカーや商社での受発注が含まれる営業事務経験などがあると、貿易事務の仕事にもすぐに活かせるでしょう。

また、取引先との窓口になるため、社会人としての一般常識やビジネスマナーは最低限押さえておく必要があります。

ビジネスマナーについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
ビジネスマナーの基本21ポイント 名刺交換・電話・メールマナーから文書作成まで
 

コミュニケーション能力

社内や関連部署との連携や、クライアントへの連絡、調整などをするうえでコミュニケーション能力も必須です。海外とのやりとりが多く、文化や習慣の違いなどで意思疎通がうまくできないと、誤解や行き違いなどが生じてしまいます。トラブルなく業務をこなすためには、臨機応変に対処できる能力が不可欠です。
 
コミュニケーション能力については、以下の記事をご確認ください。
仕事上で求められる3つのコミュニケーションスキルとは?
 

輸出入や貿易に関する専門的知識

貿易事務では、一般的な事務処理に加えて、貿易に関する専門的な知識が必要です。貿易事務の経験者は、未経験者と比べて採用されやすい傾向があります。たとえば、貿易に関する英語の専門用語を理解していたり、輸出入のための書類を処理できたりすれば、採用されやすくなるでしょう。
 
 国内取引ではなく、海外との取引だからこその苦労や難しさなどを踏まえたうえで、応募先企業に自らの経験を具体的にアピールしてください。

もし貿易事務が未経験であっても、貿易実務に活かせるスキルをアピールすることが大切です。たとえば、語学力や事務処理能力の速さ、営業事務の経験、複数の取引先とコミュニケーションを取りながら業務をおこなっていたことなどです。

語学力に自信があれば、TOEICやTOEFLの点数を示したり、海外留学の経験を伝えたりしましょう。貿易事務が未経験であっても、貿易実務検定の取得を目指すなど貿易取引の知識を深めていく意欲が高いことを積極的にアピールしてください。
 

貿易事務に活きる資格

 
貿易事務に活きる資格は、貿易実務検定や語学力を証明できる資格などです。
 
貿易実務検定では、商談や契約、マーケティング、代金決済などの貿易実務に必要な知識を学びます。貿易実務検定の内容は、商社やメーカーなどの研修に使われるような実務に特化したものです。A~C級までのランクが設定され、C級から取得していけば着実にスキルアップできるでしょう。
 
仕事をスムーズに進めるために必須の語学力を示せる主な資格は、以下のとおりです。

TOEIC
TOEFL
実用英語検定試験
日商ビジネス英語検定
 
取引先が英語圏以外の場合、中国語やフランス語など、ほかの言語の資格も貿易事務の仕事に活かせます。
 
TOEICの勉強法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
スコア別のTOEIC勉強法!TOEICの基本情報や試験の種類、効果的な勉強方法も解説
 

貿易事務の仕事で得られるやりがいやメリット

 
貿易事務の仕事で得られるやりがいやメリットは、以下のとおりです。

さまざまな国の人や文化と関われる
通関士の資格が取りやすくなる
派遣で働く場合には研修制度が充実している
輸出入の専門知識が身につくため今後の転職などにも役立つ
 
ここからは、やりがいやメリットを詳しく解説します。
 

さまざまな国の人や文化と関われる

仕事を通してさまざまな国の人と関わり、リアルな海外の文化や情勢に触れられるため、新しい発見ができます。貿易に関する国の情勢や原油価格、為替の動向などにも目を向けることで視野も広がるでしょう。また、ネイティブスピーカーとのやり取りによって、語学力のレベルアップも期待できます。
 

通関士の資格が取りやすくなる

貿易事務の経験を積むと、貿易や輸出入に関する知識が身につくため、通関士の資格が取りやすくなります。通関士は、税関に輸出入の手続きや申告をおこなう貿易のスペシャリストであることを示す資格です。貿易関連で唯一の国家資格でもあるため、後々のキャリアアップにも活かせます。

実務をこなしながら資格取得を考えている方にとってはメリットといえるでしょう。
 

派遣で働く場合には研修制度が充実している

貿易事務の仕事を未経験からチャレンジする場合、研修制度が充実している派遣社員からスタートすることも手段のひとつです。派遣社員として貿易事務の仕事に就く場合、一般事務の仕事と比べて派遣会社の研修制度が充実しているケースがほとんどです。
 
たとえば、基本的なビジネスマナー研修やOA研修に加え、貿易実務の研修やTOEICの受験サポートを実施している派遣会社もあります。研修内容やサポートの範囲は派遣会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
 

 輸出入の専門知識が身につくため今後の転職などにも役立つ

貿易事務としての経験を積み、輸出入の専門知識を身につけておけば、出産や育児、介護などで長期間仕事から離れても復職しやすいでしょう。
貿易事務の仕事で鍛えられた語学力や事務処理能力は、同じ業界でのキャリアアップだけでなく、異業種への転職にも活かせます。貿易事務は、さまざまな企業と関わる仕事のため、協調性や柔軟性を自然と身につけられるのもメリットのひとつです。
 

まとめ

 
貿易事務は事務職のなかでも専門性が高く、商社やメーカーなどさまざまな業種で活躍できる仕事です。仕事内容は、輸出・輸入に関する書類の作成やスケジュール調整、関税手続きなどです。就業先によって担当業務は異なるため、求人票の内容を確認しましょう。貿易事務の仕事には、語学力や事務処理能力、コミュニケーション能力が活かせます。
 
未経験で応募する場合、スキルや培ってきたキャリアをアピールすることが大切です。未経験から貿易事務の仕事にチャレンジしたい場合、派遣社員で経験を積んでから正社員に挑戦するのも手段のひとつです。派遣社員の貿易事務の求人を探す場合、求人数が豊富なJOBNETをご活用ください。 
 
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