この記事は、医療業界で働きたいと考えている人のために、医療業界で働く意義、医療業界で働くための代表的な資格と主な仕事内容、現在の医療業界について解説しています。無資格・未経験でも働ける医療業界の仕事についてもご紹介します。医療業界で仕事を探す際の参考にしてください。
目次
医療業界で働くとは
医療業界で働くことは、人の命に関わる仕事に就くことを意味します。そのため、大きなやりがいがあるとともに、高い技術力とモラルが求められる仕事でもあります。医療業界の仕事というと医師や看護師などを思い浮かべる人は多いです。
しかし、診療放射線技師や薬剤師、介護福祉士、医療事務、製薬会社や医療機器メーカーの営業など、多くの人が医療業界を支えています。医療業界といっても、さまざまな関り方があるため、医療業界で働く際は、自分に合った職務を選びましょう。
医療業界で働く人々の代表例と主な仕事内容
医療業界の仕事は、医師や看護師のように国家資格が必要な仕事だけではありません。医療事務や看護助手、ホームヘルパーのように、無資格・未経験でも始められる仕事や、国家資格を取得していなくても、指定の研修を受けるだけで始められる仕事もあります。以下の項目で、医療業界の代表的な職業をご紹介します。
病院関係で働く
病院には、医師や看護師のように患者と接することが多い仕事から、管理栄養士や歯科技工士のように患者と接する機会の少ない仕事までさまざまです。しかし、多くが国家資格を必要とし、スキルや知識が求められます。
国家資格が必要な仕事
【医師、看護師、救急救命士、保健師、助産師、歯科衛生士、など】
病気やけがで病院を訪れた人、入院している人に対して医療・治療・出産のサポートなどを行います。内科・外科・小児科・産婦人科・歯科・救命救急センターなど、さまざまな科に分かれて直接患者と接する仕事です。
【診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、など】
放射線技師はレントゲンを用いて体の内部を、臨床検査技師は患者から採取した血液や心電図などをチェックすることが仕事です。臨床工学技士は人工呼吸器や人工心肺装置など、医療を施すにあたって必要な機器の操作・検査・保守を行います。
【理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、など】
リハビリなど、患者の機能回復をサポートします。PT(理学療法士/Physical Therapist・PT)、OT(作業療法士/Occupational Therapist)、CO(視能訓練士/Certified Orthoptist)などと呼ばれることもあります。
【歯科技工士、義肢装具士、など】
治療や機能回復の際に使用する装具を製作、メンテナンスします。歯科技工士は入れ歯やインプラント、かぶせものなど口腔内の装具、技師装具士は義手や義足のような「義肢」、コルセットや義眼のような「装具」などの製作を担当します。
【精神保健福祉士、社会福祉士、など】
精神に病気や障害をもつ人や、高齢者・障がい者・育児放棄された子どもなど、なんらかの理由でサポートが必要な人の相談・カウンセリングを行う仕事です。精神保健福祉士は精神病院での勤務が主ですが、社会福祉士は医療施設・行政施設・介護施設など、勤務先は幅広いです。
【管理栄養士】
病気で入院している人や、高齢で食事がとりづらい人など、個人の状態にあわせて食生活の管理を行います。栄養士と似ていますが、栄養士は都道府県知事、管理栄養士は厚生労働大臣の免許を受けた資格です。
【薬剤師、登録販売者、など】
必要な人に対して薬を提供する仕事です。薬剤師は調剤・医薬品の販売・服薬指導・創薬の研究などに携れるため、病院や調剤薬局、ドラッグストアなど、職場の幅が広いです。登録販売者は調剤を行えず、販売できる医薬品に制限があります。そのため、働ける場所が限られます。
【介護福祉士】
高齢者や入院患者、障がい者など、必要な人に対して身体介助や生活援助、家族への介護アドバイスを行うのが主な仕事です。数ある介護系資格の中で唯一の国家資格で、介護福祉士=ケアワーカーと呼ばれる場合もあります。
未経験(国家資格なし)でも始められる仕事
【医療事務/受付、医療秘書、医療事務作業補助者、検診センター受付、看護助手、歯科助手、など】
医療事務/受付や医療秘書、医療事務作業補助者などは、病院や薬局での受付で患者と接したり、事務所で電話対応・事務作業・医師のサポートを行ったりします。また、看護助手や歯科助手は、医師や看護師のサポートを行います。
【ホームヘルパー、ケアワーカー、ケアマネージャー、生活相談員、など】
介護福祉士のような国家資格は不要ですが、ホームヘルパーやケアワーカーも身体介護や生活援助を行うのが主な仕事です。ケアマネージャーや生活相談員は、必要な介護サービスを利用するための計画の作成や、関係施設、利用者家族との連絡調整などを行います。
ホームヘルパー(厚生労働省の研修・認定が必要)や生活相談員(社会福祉士などの資格が必要な場合あり)は、国家資格以外の資格が必要となります。
医療機器メーカーで働く
医療機器メーカーは、新卒で入社する人、異業界から転職する人など、さまざまな人が活躍しています。しかし中には、臨床工学技士の国家資格を活かして医療機器メーカーで働く人もいます。
臨床工学技士は、医療現場だけでなくメーカーにおいても、医療機関で新しい器械や医療材料を導入するにあたって多く求められる人材であり、就職、転職に有利な資格です。
営業
病院やクリニックのような医療機関を対象に、MRIや人工透析装置などの医療機器から注射器のような消耗品まで、自社製品やサービスなどの提案営業を行います。医師や看護師、臨床検査技師など、製品によって提案相手は異なります。
サービスエンジニア
営業の提案を受けて自社製品を使用してくれることになった病院やクリニックを定期訪問し、自社製品の点検・修理・メンテナンスなど、アフターフォローを行います。自社製品や機械に関する専門知識が求められます。
アプリケーションスペシャリスト
営業とともに病院やクリニックなどを訪れ、専門知識を活かして自社製品の性能や、期待できる効果を説明します。臨床工学技士の資格をもっている人が活躍していることが多いです。
クリニカルスペシャリスト
自社で開発した医療機器の導入を提案する際、専門知識を活かしたアドバイスを行います。看護師資格取得者や、看護師として勤務した経験を活かして仕事をしている人が多く活躍しています。
医薬品メーカー(製薬会社)で働く
医薬品メーカーでは、新薬の開発や改良など、人々の健康や命に関わる重要な役割を担い、さまざまな立場の人が働いています。
研究、開発分野
医薬品の研究・開発、製造にいたるまでに必要な業務を行います。医薬品の候補となる化合物の性質を把握し、品質や安全性を確認、製剤化できるよう大量合成を行うなど、医薬品に対する高い知識が求められる仕事です。
生産
研究・開発部門で安全性や効果が確認された医薬品の製造を行います。生産工程における品質管理や工務管理など、人々に安全な製品を届けるために必要な試験業務を行います。
MR
MRとはMedical Representative(医薬情報担当者)の略で、病院やクリニックのような医療機関に対して、自社の医薬品に関する情報を提供する仕事です。また、現場の意見を収集して、新薬の開発や改良などに活かします。
PMS
PMSはPost Marketing Surveillance(製造販売後調査)の略で、実際に使用された自社製品の有効性や安全性を確認する仕事です。適正に使用されているかなどの情報を収集し、研究・開発へのフィードバックも行います。
マーケティング
自社で作られ、販売される製品の経営管理を行います。新製品に関する価格・販売に関する戦略を策定します。医薬品に対する知識よりも、マーケティングに関する知識が求められます。
(製薬会社のアウトソーシング先で)CRA、CRC
CRC(Clinical Research Coordinator/治験コーディネーター)がコーディネートした治験を、CRA(Clinical Research Associate/臨床開発モニター)がモニタリングし、データ集計・解析をします。
医療業界の現状
高齢化社会を迎えている日本では、医療と介護の連携や、地域に根ざした医療体制の強化などが求められていると考えられます。そのため、今後は病気になるのを防ぐための予防医療やリハビリテーション、生活を支える介護などの分野に積極的に参入する病院や企業も増えると予想できます。
高齢化がさらに進めば、医療業界で働く人の需要はますます高まります。医療を効率的に提供するための地域医療構想や診療報酬改定など、環境もさらに整備されていくでしょう。
異業種・他職種からの医療業界への転職
異業界・他職種から医療業界へ転職を考えている人の中には、「異業界・他職種からでも転職できるのか」「新しい仕事は自分のキャリアアップにつながるのか」を気にしている人もいるのではないでしょうか。ここでは、異業界・他職種から医療業界へ転職する場合のキャリアプランや入職後のキャリアパスについて解説します。
異業種・他職種からの病院事務職への転職(キャリアプラン)を考える
医師のように国家資格が必要な仕事へ就こうとする場合、資格取得から目指さなければなりません。しかし、医療事務のように特に資格がいらない職種なら、比較的転職しやすいかもしれません。ただし、医療事務は人気職種でもあるため、医療事務資格があると採用に有利になる可能性があります。
また、医療事務の場合、転職活動をしながら医療事務の資格を取得する方法もありますが、事務職に求められる役割は変化しています。ハイスキル人材が求められる傾向が急速に高まっているため、異業界から事務職を目指すなら、事務職に活かせる自分なりの強みをもつことが大切でしょう。
転職活動では、これまでのスキルや経験を最大限にアピール
医療業界へ転職する際は、自分の活かせるスキルや経験を最大限にアピールしましょう。たとえば、パソコンスキルや顧客対応などで培ってきた交渉スキルなどは、異業種から医療業界へ転職する際も活かせます。今まで経験してきたキャリア、スキルの棚卸しをおこない、積極的にアピールしましょう。
病院事務職のキャリアパス
病院事務職とはその名のとおり、病院の運営に携わる事務職のことです。病院内の事務というと受付や会計などの業務をおこなっている医療事務を思い浮かべるかもしれませんが、大きな病院になると、総務や人事といった部署もあります。たとえば、受付業務からキャリアをスタートさせ、そのまま医療事務スペシャリストとしてスキルを磨くこともできます。また、病院内でさまざまな業務を経験して知識やスキルを高め、企画や広報、管理職を目指す人もいます。
まとめ
やりがいが大きく比較的安定している医療業界は、異業界から転職する人も少なくありません。医師や看護師のように国家資格が必要な仕事も多いですが、医療機器メーカーの営業や病院の医療事務など、資格がなくても就ける職種もあります。
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