2022年10月17日
103万の壁や130万円の壁は、税金を負担する基準になる金額です。労働者が納める税金には、アルバイトやパートタイムで働く方も納付するものがあります。この記事では、103万の壁や扶養内で働くメリット、デメリットを解説します。納税する額を事前に知りたい、納付が不要な年収を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
103万の壁とは
103万の壁とは、所得税を納税する金額を指します。つまり親や配偶者の扶養内で働く場合は、年収103万円を超えると所得税を払わなければなりません。103万円の内訳は、所得金額の合計が2,400万円以下の方が控除できる基礎控除額の48万円と、給与所得の金額による控除の給与所得控除額の最低額55万円を足した値です。
扶養控除とは、納税者の子どもや親など、控除対象扶養親族となる方を対象にした所得控除です。扶養範囲内のアルバイトやパートタイムで働く場合、所得税の納付が年収103万円を超えるかどうかがポイントになります。
130万の壁とは
130万の壁とは、扶養控除から外れて社会保険に加入するかどうかが決まる金額です。年収130万円を超える場合、住まいの市区町村の国民健康保険、もしくはパートタイム先の健康保険に加入しなければなりません。健康保険だけでなく、年金の加入義務が生じます。130万円を超えた場合は、国民年金保険か勤務先の厚生年金に加入しましょう。
103万と130万どっちが得?
103万と130万の壁のどちらが得であるかは、働く方の家族や家計の状況によります。年収が130万円を超える場合、国民年金と国民健康保険の加入条件を満たし、1ヶ月あたり約3万円、年間約36万円の税金がかかります。
たとえば、40歳未満のパートタイム主婦を想定すると、社会保険加入の場合、年収130万円の手取りは約100万円と、年金や保険料の納付額が増え、手取りが少なくなります。130万円を超える場合、150〜160万円程度の収入を目安に働くとよいでしょう。
103万の壁に交通費は含まれる?
103万の壁に交通費は含まれません。税制において交通費は所得とみなされないためです。勤務先への通勤に、電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合、交通費の非課税限度額は月15万円です。交通費が15万円を超える場合は、超過分の金額を年収に含めて所得計算を行う必要があります。
社会保険を算出する際には交通費を含めて計算するため、社会保険料の合計金額が高くなる点に注意が必要です。
【2022年10月から条件変更】106万円の壁で扶養から外れる可能性がある
以下の条件を満たす企業で働く場合、年収が106万円を超えると扶養の範囲から外れます。
- 従業員501人以上
- 1年以上の雇用見込みがある
- 1週間の所定労働時間20時間以上
- 月額賃金が8万8,000円以上
- 学生ではない
2022年10月より、以下の条件が一部変更になりました。
- 従業員101人以上
- 2ヶ月以上の雇用見込みがある
今後は雇用期間が短い場合や、従業員数が少ない企業にも社会保険加入が強制されます。現在の労働条件で年収106万円を超えないように働いている方は、2022年の所得を調整して働く必要があります。加入するのを避けたい場合は、職場に勤務条件の変更を相談しましょう。
扶養内で働くメリット
扶養内で働くメリットは、税負担が少ないことや年金に加入できることです。以下で詳しく解説します。
配偶者の税負担が抑えられる
たとえば、扶養内で働く妻が税制上の扶養に入ると、夫は配偶者控除、配偶者特別控除のどちらかが受けられるため、納税額を減らせます。配偶者控除は、給与収入103万円以下であり、配偶者特別控除は給与収入103万円超から201万6,000円未満です。これらの控除を受けると家計全体の税負担が抑えられて、世帯の手取り額の増加につながる可能性があります。
所得税の負担をする必要がない
年間103万円以下の収入の方が扶養内で働いてる場合、所得税を納める必要はありません。基礎控除と給与所得控除を引いた金額が0円以下になるため、所得税の納税額が0円になります。
保険料の納税なしで国民年金を受け取れる
会社員や公務員などの厚生年金に加入している方の配偶者は、保険料を納税せずに国民年金を受け取れます。パートタイムやアルバイトの給与収入が130万円未満の場合、国民年金の第3号被保険者の扱いになるため、年金保険料の納付義務はありません。そのため第3号被保険者の方が働く場合は、年収を考慮して働くとよいでしょう。
医療費が3割負担になる
扶養に入っていると、自身で国民健康保険を払う必要はありません。健康保険を払っている方と同じように、医療費を3割負担で医療機関の受診が可能です。扶養内でパートタイムやアルバイトの給与収入が130万円未満の場合、配偶者の勤務先から保険証が発行され、医療費が減額されます。
扶養内で働くデメリット
扶養内で働くと、年金の額が決まってしまう、勤務先が少ないといったデメリットがあります。以下で詳しく解説します。
年金の受け取り額が少ない
扶養内で働く方を第3号被保険者と呼び、保険料納付済期間と保険料免除期間などの受給資格期間が10年以上である場合、国民年金(老齢基礎年金)を受け取ることが可能です。年金の受給は65歳から開始されますが、年金の上乗せ制度の「付加年金」や「国民年金基金」などは利用できないため、年金の受取額は少なくなります。
勤務先が限られる場合がある
扶養内で働く方は、103万円の壁や130万円の壁を考慮すると、時給や勤務日数を抑える必要があります。勤務先や仕事内容が限られてしまうため、スキルアップが難しく、キャリアプランを描きにくい可能性があります。ただ、シフトの融通が利く職場で働くことは、家庭や子育て、勉強との両立の助けにもなるでしょう。
アルバイトやパートタイムで確定申告を行う場合
アルバイトやパートタイムは確定申告が必要になる場合があります。
勤務先で年末調整を行っていない
年末調整は、その年の12月末まで会社に在籍し、12月中に給与の支払いがある従業員に対して行わなければなりません。勤務先の経営者が年末調整を行わなかった場合は、確定申告が必要です。
年収103万円以下で、1ヶ月の給与が8万8,000円を超えた月がある場合、還付金を受け取れる可能性があります。1年の途中でアルバイトを辞めた場合も、還付金を受け取れる可能性があるため、申請を行いましょう。退職した翌年以降5年以内は、確定申告ができます。
複数の勤務先がある
年末調整ができるのは1事業者のみであるため、複数の勤務先がある場合は個人で確定申告が必要です。それぞれの勤務先から源泉徴収票を受け取り、現在の勤務先でまとめて年末調整に対応してもらえる場合もあります。
複数の勤務先で扶養控除申告書を提出して年末調整を行った場合、複数の勤務先の年末調整で所得と所得税をすべて計算して確定申告を行うため、注意が必要です。合計年収103万円を超えない場合は、確定申告は不要です。
医療費控除など各種控除の申告がある
医療費の控除や災害による所得税の軽減免除などは、自分で申請をして控除を受けましょう。年間10万円以上の医療費を払った場合も、医療費控除の対象になります。支払った医療費に応じて課税所得が減額されるため、医療機関を利用した際はレシートを保管しておき、確定申告時に控除の申請を行いましょう。
まとめ
103万の壁は所得税を納税する金額、130万円の壁は社会保険に加入する金額です。働く方の家族や家計の状況によって、103万の壁と130万の壁のどちらが適しているかは異なるので、ご自身の状況に合わせて検討しましょう。
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