2023年12月15日
派遣社員として働くうえで、産休の制度や産休を取得するための条件について、詳しく知りたい方は多いのではないでしょうか。この記事では、派遣社員の産休について、派遣社員が産休を取得するために必要な条件や手順、給付金や注意点などについて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
産休とは
産休とは、母親の体を保護する観点から認められている制度です。出産に向けた準備期間である「産前休業」と、産後に体を回復させるための期間である「産後休業」を合わせて、産前産後休業(通称産休)と呼びます。産休は出産するすべての女性が取得できる制度であり、労働基準法で定められています。
育休との違い
育児休業(通称育休)とは、産後休業の翌日から子どもが1歳の誕生日を迎えるまでの間に、希望する期間を休める制度です。育休を取得する場合には、一定の条件を満たす必要があり、さらに休業開始予定日の1ヶ月前までに申請することが法律で定められています。産休は出産をする女性のみが取得できる制度になりますが、育休は男女ともに取得できます。
派遣社員も産休を取得できる
産休は雇用形態にかかわらず、出産予定の女性が取得できる制度であり、派遣社員として働く方も産休を取得できます。また、妊娠や出産、産休や育休の取得などを理由とした解雇などは禁止されています。
派遣社員が産休を取得して得られるメリット
産休を取得することには、いくつかのメリットがあります。たとえば、働き慣れた職場に復帰できる可能性が高いことは、大きなメリットといえるでしょう。新しい職場探しや雇用の不安によるストレスを軽減できます。また、社会保険に加入していれば、休業中の手当てが支給されることもメリットです。
派遣社員が産休を取得する条件
出産予定の派遣社員が産休を取得するための条件は、雇用主に産休を請求するのみです。産休の取得には、育休のように雇用状態や入社年数などの条件はありません。ただし、産休は請求しなければ取得できないため、妊娠が判明したらできるだけ早めに雇用主へ請求するようにしてください。
派遣社員が取得できる産休期間
「産前休業」と「産後休業」の休業日数は、どのくらい取得できるのでしょうか。以下でそれぞれについて解説します。
産前休業
産前休業は、出産予定日を含む6週間前から、多胎妊娠の場合は14週間前から取得が可能です。実際の出産日が出産予定日よりも遅れ、産前休業が6週間より延びると、超過分も産前休業になります。産前休業は法律で定められているものの任意であるため、必ず産前6週間前から取得すべき制度ではありません。
産後休業
産後休業は、産後の翌日から8週間の休暇を取得しなくてはならない制度です。本人の意思にかかわらず、法律の定めにより、出産後8週間は体を回復させるために働くことが禁止されています。本人の希望により早く働きたい場合は、医師の許可が得られれば、産後6週間以降から復職できます。
派遣社員が産休中に受けられる手当や給付
派遣社員が産休を取得すると受けられる手当や給付は2つあります。
出産手当金
出産手当金は、派遣社員が産休中に健康保険組合から支給されます。支給額は1日あたり、「標準報酬月額÷30日×2/3」に相当する額になります。出産手当金が給付されるには、以下の3つの条件が必要です。
- 出産のために仕事を休んでいる
- 健康保険に加入している本人が出産する
- 産休中に給与が支払われていない
出産育児一時金
出産育児一時金は、保険適応外である出産に伴う費用を軽減する制度です。出産する本人、または配偶者が健康保険に加入していれば、子どもを1人出産すると42万円、多胎出産では子どもの人数分が支給されます。ただし、産科医療補償制度に未加入の医療機関で出産した場合は、40.8万円の支給となります。
※参考:出産に関する給付 全国健康保険協会
派遣社員が産休中に支払う税金や社会保険
派遣社員が産休を取得した場合、税金や社会保険は支払うのでしょうか。以下でそれぞれについて解説します。
所得税
所得税とは、1年間分の給与や商売で稼いだ収入に対してかかる税金で、1年間は1月から12月を指します。産休中の派遣社員に対して、派遣会社から給与の支払いがない場合は、所得税は発生しません。産休中に支給される「出産手当金」や「出産育児一時金」は非課税であり、所得税の対象外になります。
住民税
住民税とは、前年1月から12月までの1年間の収入を基準として、翌年6月から1年間分を分割で支払う税金です。産休中で収入のない派遣社員も、納税の義務があります。通常、住民税は給与天引きで納税していますが、産休中は給与の支払いがないため、自分で納税しなければなりません。
社会保険料
社会保険料とは、健康保険や厚生年金、雇用保険などの社会保険にかかる保険料です。産休中の社会保険料は2014年4月から免除となりました。免除期間は、産休を開始した月から終了する前月までで、1ヶ月単位で金額が免除されます。日割りでの計算は行われないため、注意しましょう。
派遣社員が産休を取得する手順
派遣社員が産休を取得するには、どのように進めればよいのでしょうか。以下で手順について解説します。
1.派遣会社・派遣先へ報告する
はじめに、雇用主である派遣会社へ妊娠の報告や出産予定日、産休取得の意思などを報告しましょう。妊娠の早い段階で報告することで、体調の変化、業務内容や残業について相談をする際にもスムーズに話をすることができます。派遣先への報告は派遣会社の担当者に報告を終えてから伝えますが、多くの場合が派遣会社の担当者から派遣先担当者へ連絡します。
2.必要書類を提出して申請する
産休を申請する際には、派遣会社が指定する書類に必要事項を記入して提出してください。育休も取得する場合は、申し出期間が休業開始予定日の1ヶ月前までと法律で定められていますので、産休と育休は一緒に申請することをおすすめします。
3.産休期間に入る
産休期間は産前が6週間、産後は8週間取得できます。産前休業は任意であり、出産予定日近くまで働く方や、出産に向けて6週間休業する方などさまざまです。産後休業は出産の翌日からとなり、原則8週間は就業禁止となりますが、本人の希望や医師の許可が得られれば、産後6週間で復職することも可能です。
4.仕事へ復帰する
産後休業後、育児休業を取得する方は育休期間に入ります。育児休業を取らずに仕事へ復帰することも可能です。仕事への復帰については、出産前に希望を伝え、就業先へ戻るのかなどを事前に相談し、決定しておく必要があります。
派遣社員が産休を取得する際の注意点
派遣社員が産休を取得する際には注意点があります。以下で2つの注意点について解説します。
産休育休後の復職先が変わることもある
派遣社員が産休を請求する先は、派遣先ではなく派遣会社となります。そのため、産休育休後の働き方を見直し、時短勤務や自宅から近い派遣先への就業を希望することも可能です。
産休取得・復帰について早めに相談をする
派遣会社に対して、妊娠の報告や産休取得の相談が遅くなると、結果として派遣先の会社に迷惑をかけてしまうこともあります。早めにわかっていれば、業務を引き継ぐ後任の人材を探すこともできますし、体調不良の際には、派遣先と業務内容の調整なども可能だからです。
また、復職後の働き方に不安を抱えている場合は、派遣会社に相談することで、それらを考慮した働き方を提案してくれます。
まとめ
産休は雇用形態にかかわらず、出産を控えた女性の誰もが取得できる制度です。派遣社員も産休を取得することで、産後の職場探しや雇用への不安を軽減できるため、大きなメリットといえます。産休中に受けられる手当や給付、免除になる制度もありますので、安心して出産に臨めるでしょう。
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