トップ | 派遣の働き方ガイド | スキルアップ講座 | 時短勤務とは?対象者・利用方法・成功のポイントなどをわかりやすく解説

時短勤務とは?
対象者・利用方法・成功のポイントなどをわかりやすく解説

2019年4月1日
 
時短 勤務

近年、政府や産業界において、育児や介護のための休業制度の見直しが進められています。  
この記事では、育児や介護のために時短勤務の利用を検討している方に向けて、時短勤務の対象者の条件や、時短勤務を利用する方法、うまく職場の理解を得る方法などをご紹介します。
周囲の理解とサポートがなければ、子どもの養育や介護と仕事との両立は難しくなります。その一助として、記事を参考にして時短勤務制度をうまく活用してください。

目次


時短勤務制度とは、代表的なところでは1日あたりの所定労働時間を原則として6時間以内とする育児短時間勤務などを指します。

育児・介護休業法では、事業者に対して、要件を満たした従業員が短時間勤務を希望した場合に、要望に応じるか、代替措置をとるように求めています。
時短勤務にはさまざまな形があり、以下のようなものが代表例です。

・1日6時間までなど、所定労働時間を短くする
・保育園に子どもを預けてから出社できるよう、出社時間を遅らせる
・保育園などの保育施設の終わりの時間に合わせて帰宅できるよう、退社時間を早める
・出勤時間や退社時間を変えられるフレックスタイム制


時短勤務制度を利用できるのは要件を満たしている従業員に限られます。時短勤務制度の適用を受けるためにはどのような要件が必要であるのか、また、時短勤務制度を利用できないケースについてもあわせて解説します。
 
 

3歳未満の子を養育する労働者

企業は、3歳に満たない子どもを養育する労働者に対して、所定労働時間を短縮する措置を講じなければなりません。制度の概要は以下のようになっています。
 

所定外労働の制限

3歳未満の子を養育する労働者が子どもを養育するために残業の免除を申し出た場合、事業主は残業をさせてはなりません。
 

深夜業の制限

3歳未満の子を養育する労働者が子どもを養育するために深夜の業務の免除を申し出た場合、事業主は午後10時から午前5時の間の深夜帯の勤務をさせてはなりません。
 

育児のための所定労働時間短縮の措置

3歳未満の子を養育する労働者に対しては、1日の所定労働時間を原則として6時間としなければなりません。事業の性質などからこの短時間勤務措置の実現が難しい場合、以下の表のような代替策を講じなければなりません。
 
1)育児休業に準じる措置
2)フレックスタイム制の措置
3)出社、退社時間の繰り上げや繰り下げ
4)事務所内の保育施設の設置

短時間勤務制度の適用期間は、子どもが満3歳の誕生日を迎えるまでとされています。
 
 

3歳~小学校未就学児を養育する労働者

企業は、3歳以上の未就学児童を養育する労働者に対して、以下の措置をとるよう求められています。
 

時間外労働の制限

事業主は1ヶ月あたり24時間、1年を通して150時間を超えて時間外労働をさせてはなりません。3歳未満の子を養育する労働者とは違い、3歳以上の未就学児童を養育する労働者に対しては、条件付きで残業を求められるようになっています。
 

深夜業の制限

未就学児童を養育する労働者が希望した場合、午後10時から午前5時の間の深夜時間帯に労働させてはなりません。
 

未就学児童を養育する労働者に関する努力義務措置

未就学児童を養育する労働者がいる場合、事業種には以下の項目に対して努力義務があります。
 
1)育児休業制度に準じる措置
2)フレックスタイム制の導入
3)出社、退社時間の繰り上げや繰り下げ
4)事業所内の保育施設の設置

 

家庭に介護を要する人がいる労働者

事業主は、介護を要する家族をもつ労働者に対して、以下のような措置を講じなければならないとされています。
 

所定外労働の制限

家族の介護のために残業の免除を労働者が希望した場合、事業主は残業をさせてはなりません。
 

深夜業の制限

家族の介護のために深夜の残業が難しい労働者に対しては、事業主は午後10時から午前5時までの深夜時間帯の労働をさせてはなりません。
 

所定労働時間短縮

事業主は家族の介護をする労働者に対して、以下のような所定労働時間短縮などの措置を講じなければなりません。
 
1)所定労働時間の短縮
2)フレックスタイム制の導入
3)出社、退社時間の繰り上げや繰り下げ
4)介護サービスの費用への援助など
 


時短勤務制度を利用できない人はいる?

以下に該当する労働者は、労使協定の締結などにより、時短勤務制度の対象から外れる場合があります。
 
・日々雇用される従業員
・入社から1年未満の従業員
・1週間あたりの所定労働日数が2日以下である従業員
・業務の性質などを考慮して、短時間勤務制度の適用が困難な業務にあたる従業員
 
ただし、配偶者が専業主婦や専業主夫、あるいは育児休業中である場合など、労使協定を結んでいても時短勤務の対象外とされない場合もあります。


時短勤務を利用したい場合、手順を踏んで手続きを進めていくとスムーズに制度を利用できるでしょう。要件を満たしていない場合、制度が利用できない場合もありますので、自分が制度を利用できるかどうかもその前に確認しておきましょう。

会社の制度を確認する

育児介護休業法により、時短制度はすべての会社で制度化が義務づけられています。しかし、法律が求めている以上の制度を独自に導入している会社もあるため、時短制度を利用する際には就業規則などで自社の制度がどうなっているかを確認しましょう。
 
 

産休に入るまでに上司に相談する

スムーズに時短勤務制度を利用するためには職場、とりわけ上司の理解とサポートが必要です。会社としては、いつまで産休、育休をとり、どの期間に時短勤務制度を利用して、いつからフルタイムの従業員として復帰するのかをなるべく早く知りたいものです。
会社が業務量の調整や人員配置を計画的に行えるように、産休に入る前から以下のように項目ごとにあらかじめ相談をしておくと、職場の理解を得やすくなるでしょう。
 
・いつ育休が終了して職場に復職するのか
・短時間勤務中の勤務時間(何時から何時まで働くか)
・出社時間を遅らせる、退社時間を早めるなどの時差出勤をするかどうか
・いつまで時短勤務制度を利用するか
 
保育園への入園の可否などによって予定が変更になる可能性もありますが、そういった可能性も含めて、なるべく早いうちから予定を伝えていくようにしましょう。
 
 

育休からの復帰1か月前までには申請する

保育園への入園の可否などが決まれば、育休から復帰した後の勤務時間など、勤務条件のすりあわせがより詳細にできるようになるでしょう。復帰の3ヶ月前から、遅くとも1ヶ月前くらいを目安に上司と面談を行い、希望を伝えるようにしましょう。


幼い子どもの養育中に頼りになる時短勤務制度ですが、思うように利用できない、利用しづらいケースもあります。ここでは時短勤務の利用時に起こりやすい問題をご紹介します。

罪悪感をおぼえる

時短勤務制度は、少子高齢化対策として官民をあげた取り組みですが自分の勤務時間が短くなり、他の人より早く帰ることに対して、罪悪感を覚えてしまう人は少なくありません。今まではできていた他の人と「同じように働けない」、同僚や上司など身近な人に「サポートをしてもらう」ことが出産前と大きく異なるため、申し訳ない気持ちに繋がってしまうこともあるます。
 
 

仕事が終わらない

会社や仕事によってもことなりますが、業務量が以前と大きく変わらない状況で勤務時間が減ってしまえば、どうしても以前のように全てに手が回らなくなることもあるでしょう。また、自分の担当分野や、担当のお客様からの問い合わせなどは、不在の間に対応が止まってしまう場合もあります。時短勤務制度を利用したために仕事が終わらないという状況はやはり発生してしまいます。
 
 

給料が減ってしまう

時短勤務の利用を理由とした、減給や降級、解雇といった従業員に不利な取り扱いは禁止されています。しかしながら、ノーワークノーペイの原則で、会社は短縮された勤務時間分の賃金を支払う必要はありません。中には時短勤務中に特別手当を支給するという会社もありますが、一般的に、時短勤務制度の利用中の給与は下がってしまいます。
 
 

まだ理解がない場合がある

フルタイムの従業員の中には、早い時間に退社し、なおかつ残業も免除される時短勤務者は羨ましく思う人もいるかもしれません。時短勤務者の前例が少ないと、業務の担当や配分の見直しがされず、環境が十分に整っていないことも考えられます。そういう場合に、時短勤務者の分の仕事量をフルタイムの従業員が肩代わりしていると感じ、感情的な反発を生んでしまうなど、周囲に時短勤務への理解が浸透していない場合もあります。


ここでは、同僚の理解を求めつつ、職場に混乱を起こさずに時短勤務制度を利用するためのポイントをご紹介します。

仕事の効率化に努める

時間をいかに有効に活用できるかを突き詰めていきましょう。今日やらなくてもいい業務は翌日に回す、作業の中で省ける工程を省くなど、自分の仕事を見直し、改善していく日々の努力が必要です。
また必要な書類などもきちんと整理し、すぐに探せるようにしておくのも有効な方法です。
 
 

同僚・上司と仕事内容を共有しておく

小さな子どもに急な発熱などのトラブルはつきものです。不測の事態はいつでも起こりえるものだと常日ごろから意識しておき、いつでも業務を引き継いでもらえるように、上司や同僚とは仕事の内容や進捗状況などを共有しておきましょう。
 
 

誰にでもわかる資料作りを目指す

自分の不在中に何かトラブルが起こった場合に備えて、業務内容や手順などの資料をあらかじめ整えておくなど、「仕事の見える化」をしておきましょう。自分の代わりに対応してくれる同僚の負担が軽くなれば、時短勤務への理解も得やすくなります。
 
 

ワーキングマザー仲間をみつける

やはり、同じ経験、苦労を重ねている仲間の存在は頼りになり、強い支えになります。悩みの相談を通して具体的な解決法を見つけられたり、話をするだけでも、同じ苦労をしている仲間の存在に勇気づけられたりするでしょう。
 
 

家族と話し合い協力を得る

たとえば、早朝出勤や残業のできる日を設けて普段助けてもらっている同僚にお返しをするなど、できる範囲での貢献を示すと、職場の理解を得やすくなります。ただし、こうした取り組みには家族の協力が必要です。時短勤務制度をいかに利用するかを家族と一緒に考えていきましょう。


少子高齢化への対策として、働きながら育児ができるように時短勤務制度の浸透は官民を挙げた取り組み事項とされ、多くの企業で時短勤務に関する取り組みがされています。

しかし、他方で、さまざまな理由から、出産、育児中の離職を余儀なくされる方がまだまだ大勢存在するのも現実です。
 
一度退職してからまた新たに職場を探す場合、派遣社員としての復帰という道もあります。派遣社員としてなら、週3回のみの勤務や、短時間勤務など、育児をしながらでも無理なく働ける職場も多く見つかります。
 
マンパワーグループではさまざまな業界・職種の派遣求人情報を掲載しています。出産、育児からの復帰先として、自分の生活スタイルにあった勤務を検討されてはいかがでしょうか。
 
派遣・求人・転職なら【マンパワーグループ】


関連記事