近年はSNSやチャットツールが浸透し、電話をする機会が減少したことで、電話に苦手意識のある人が多いといわれています。しかし仕事において、電話応対は社内外とコミュニケーションを取るための大切なツールです。また、社外的な電話応対は会社全体の印象に大きく関わります。そのため社会人にとって、電話のかけ方や受け方のマナーを覚えておくことは大切です。この記事では、電話における基本的なマナーを解説していますので、参考にしてください。
目次
電話応対の基本
電話応対時には、どのようなことを心がければよいのでしょうか。基本的なポイントを解説します。
会社の一員としての心構えをもつ
電話では顔が見えず、話し方や声が判断材料となります。たとえ新人であっても相手にとってはわからず、通話相手は会社の一員であり、通話相手のマナーや雰囲気が、その会社全体のイメージにつながります。そのため電話におけるマナーが重要視されており、会社の一員としての心構えをもつことが大切です。
元気な明るい声で応対する
声のトーンは、相手に与える印象を変化させます。暗い声は、相手が不安な気持ちになったり、消極的な印象を与えたりしてしまいます。会社の顔として話すからには、電話応対時の声は明るくすることを意識しましょう。口角を上げるようにしたり、笑顔や姿勢を意識したりすると、声が明るくなります。
敬称や敬語を正確に使う
電話での言葉遣いも、相手が抱くイメージに影響を与えます。電話では、顔が見えず、言葉がより重要な要素となるためです。適切な敬称や敬語が使えなければ、不快に思われる恐れがあります。敬称や敬語は正確に使う必要があります。たとえば、相手に敬意を表す場合は、「〜です」や「〜ます」、「〜ございます」などの丁寧語を使い、相手が関わる動作や相手を指す場合は、「~様のおっしゃるとおり」や「ご担当の方」などの尊敬語を使いましょう。
電話に出る前にはメモの準備をする
用件や折り返し先などをすぐ記録できるように、電話に出る前に手元に紙とペンを用意し、メモを取りながら聞きましょう。電話のすぐそばに、常にメモ用の紙とペンを用意しておくとよいでしょう。また電話を取り次ぐ際に戸惑わないように、保留や転送など操作方法も予習しておきましょう。
電話を受ける際の手順
電話を受ける際の手順を、9つにわけ順を追って解説します。不安であれば、電話の近くにマニュアルを置いておきましょう。
3コール以内に出る
電話がかかってきたら、3コールまでに受話器を取って出るのが、仕事における一般的なマナーです。3コールまでに出られないと、相手は待たされていると感じて、電話を切ってしまう可能性があります。電話に出るまでに3コールよりも時間がかかってしまったときは、最初に「大変お待たせいたしました」と伝え、相手へのおわびの気持ちを表しましょう。
会社名と部署名、名前を名乗る
電話がつながったら、相手が名乗るより前に会社名(部署名)、名前を告げます。そのとき「もしもし」と言ってはいけません。仕事の電話においては、マナー違反とされています。
相手の会社名や名前を復唱し、メモを取る
相手が名乗り終わったら復唱し、紙に記録します。繰り返すことで、会社名や氏名の聞き間違いを防ぐ効果があります。こちらが名乗ったのちも相手が名乗らないのであれば「誠におそれ入りますが、御社名とお名前をうかがってもよろしいでしょうか」などと告げ、名乗ってもらうよう促すとよいでしょう。
問い合わせ内容に答えるか、取り次ぎ相手の名前を復唱する
相手から問い合わせの内容をうかがい、自分で答えられる内容であれば対応します。担当者への取り次ぎを頼まれた場合は、内容と担当者の名前を復唱することで間違いを防ぎます。その際、取り次ぎ先の従業員は、役職や敬称はつけず呼び捨てにしましょう。その後「ただいま担当者におつなぎいたします。少々お待ちください」などと告げます。
電話を保留にし取り次ぐ
電話は必ず保留にし、担当者に取り次ぎます。受話器を手で押さえた状態で、取り次いだり社内で確認したりするのは、マナー違反です。また、間違った人に取り次がないよう気をつけましょう。
担当者が不在の場合、不在理由と折り返し電話させることを伝える
担当者がいなければ保留を解除して、お待たせしたことを詫びます。続いて担当者が不在であること、戻り次第折り返しで電話させることを告げます。可能であれば、担当者が不在の理由と、折り返し電話のおおまかな時間も告げるとよいでしょう。その際に、必ず相手の連絡先を確認します。代理で用件をうかがうと、折り返しの電話が円滑に進みます。
質問されて回答できない場合
相手が質問をしてきた場合、自分では回答ができないこともあります。その際は、自分では回答できない旨をはっきりと告げます。「確認しまして、折り返しお電話をさせていただきます」などと告げるとよいでしょう。
相手が電話を切ってから受話器を置く
電話はかけたほうから先に切るのが、マナーといわれています。固定電話の場合、受話器の音を確認し、相手が電話を切ったことを確認したのち、電話機のフック(電話機の受話器を置く場所)を手で静かに押さえましょう。相手が電話を切らないときは、「お電話ありがとうございました。失礼いたします」などと告げ、相手から切るよう促すとよいでしょう。
担当者に伝言を残す
電話を終えたら、できるだけ早くチャットツールなどで担当者に伝言内容を連絡します。担当者が自席へと戻ったときに、口頭でも電話があったことを告げるとさらに確実です。伝言には、以下の内容を記します。
・相手の会社名、氏名
・電話を受けた日時
・用件、伝言内容
・折り返しの必要性
・自身の名前
電話をかける際の手順
続いて、電話をかける際の手順を7つにわけ、順を追って解説します。かける前の準備も大切です。
用件を整理する
電話をかける前に、用件を確認し整理します。必要であればメモにまとめたり、資料を用意したりするなど、準備しておくことで相手を困らせることなく、円滑に話を進められるでしょう。
時間に気をつける
電話をかける際は始業前、週明けの午前中、昼休み、業務時間外など、忙しいであろう時間帯は避けましょう。急ぎの用件でかけなければならない場合は「朝早く恐れ入ります」「夜分遅くに恐縮です」など、最初に一言添えます。
電話がつながったら、社名と名前を名乗って取り次いでもらう
電話がつながったら、挨拶をして、こちらから社名と名前を名乗ります。その後、担当者の名前、肩書を告げ「〇〇様はいらっしゃいますでしょうか」などと、取り次いでほしい旨を告げます。
担当者がいた場合は、社名と名前を名乗り用件を伝える
担当者が在席していて、電話に出た場合は、再び社名と名前を名乗り、用件を告げます。電話が長くなりそうであれば「〇〇分ほどお時間いただいてもよろしいでしょうか」などと、先に相手の都合を伺いましょう。
担当者が不在であれば、かけ直すことを伝える
担当者が不在であれば、まず「お戻りは何時ごろのご予定でしょうか」と戻り時間を尋ねます。その後「改めてこちらからご連絡をさし上げます」など、かけ直す旨を告げましょう。
折り返しや伝言を依頼する
担当者が不在かつ、折り返しの電話が不要であれば、要件を簡潔に告げ伝言を依頼しましょう。担当者に内容を直接告げる必要があり、複数回電話しても不在であれば「恐れ入りますが、お戻りになられましたら、〇〇社の〇〇まで折り返しのお電話をいただきたい旨を、お伝えください」と折り返しの電話を依頼します。その場合は応対してくれた相手の氏名を聞いてメモし、こちらの連絡先を告げましょう。
電話を切る
用件が終わったら、「お忙しいところご対応いただき、ありがとうございました」などとお礼を伝え、電話を切ります。電話をかけたほうが、先に切るのがマナーとされています。固定電話であれば、電話機のフックを手でそっと押さえて切りましょう。
電話でよく使う「クッション言葉」
クッション言葉とは、お願いやお断りの言い方がきつく感じられないよう、本題に入る前に添える言葉です。電話ではお互いの顔が見えないため、相手への配慮や思いやりを示すクッション言葉が大切になります。
お願いをするとき
お願いするときは「恐れ入りますが」や「大変お手数をおかけいたしますが」、「ご面倒をおかけいたしますが」と添えます。
尋ねるとき
尋ねるときは「差し支えなければ~をお願いできますでしょうか」または「失礼ですが」と添えましょう。
断るとき
断るときは「心苦しいのですが」や「あいにくですが」、「せっかくですが」、「申し訳ございませんが」と添えましょう。
まとめ
電話応対におけるビジネスマナーは、会社全体の印象を決める重要なものです。会社の一員であることを心がけつつ、電話を受ける際もかける際も、明るく相手が聞き取りやすい発声を意識し、誠実に対応することが大切です。お願いやお断りをするときは、クッション言葉を添えることで、相手に対する思いやりを示しましょう。
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