特許事務とは、特許に関する事務業務全般を担当する職種です。仕事内容は、勤務先が特許事務所か弁理士事務所か、一般企業かによって異なります。この記事では、特許事務の仕事に興味のある方に向けて、特許事務の仕事内容や必要なスキル、未経験からチャレンジできるかなどを詳しく解説します。
目次
特許事務の仕事とは
特許事務は、特許に関する事務業務全般を担う仕事です。具体的な仕事内容は、申請書類の作成、弁理士のサポート業務、顧客との連絡調整などです。特許事務は、専門性の高い事務職といえます。
特許法など、特許に関する法律の知識や特許申請の流れを身につける必要があり、勤務先によっては英語のスキルも求められます。しかし、それらのスキルは実務経験を積むことで身につけることができます。
特許事務の仕事内容
特許事務の仕事内容は勤務先によって異なります。特許事務所や弁理士事務所に勤務した場合のメイン業務は、特許の出願手続きです。一般企業で特許事務として働く場合は、自社製品の知的財産が侵害されていないかの調査や、特許について他社とのライセンス交渉を行うなど幅広い業務があります。
さらに、最近では海外における知的財産の管理も重要となっており、当該国の特許事務所とのやり取りも発生します。
特許事務の仕事 1日の流れ
特許事務の一般的な1日の仕事の流れは、以下のようになります。
9:00:出社
10:00:書類の作成や整理、弁理士とのやり取り
12:00:昼食・休憩
13:00:出願書類の作成
15:00:特許庁へ書類の持参
16:00:社内での打ちあわせ、業務の改善提案
17:30:メールチェック、明日の準備
18:00:退社
特許事務のやりがい
特許事務のやりがいは、出願前の画期的なビジネスアイデアに触れられることです。新たな試みや技術、最新の業界知識や情報を知り得ることは特許事務の醍醐味でしょう。また、特許法を中心とした、さまざまな法律の知識が習得できこともやりがいにつながります。
特許申請の際に法律や大局的な判断から特許を出願し、特許が取得できると大きな達成感や喜びを得られます。
特許事務の難しい点
特許事務は、企業の知的財産という機密事項を取り扱うため、ミスが許されません。また、特許申請には期日があるため、複数の案件を同時に管理し、期限を厳守する必要があります。さらに、海外出願を担当する場合は、各国で異なる特許に関するルールへの対応が求められます。国内外問わず、特許のルール改正に敏感になる必要があり、特許事務にはさまざまな難しさがあります。
特許事務の平均年収
正社員の平均年収は547万円であり、日本の平均年収よりも高い水準です。ただし、全体の給与幅をみると367~959万円となっており、勤務先や経験・スキルにより年収が大きく変わります。なお、関東における派遣社員の平均時給は1,873円です。
※参考:関東の求人情報 派遣のお仕事探しならリクナビ派遣(2020年11月)
特許事務の仕事をとおして身に付くスキル
ここからは、特許事務の仕事をとおして身につくスキルをご説明します。特許事務の経験を積むことで、以下のふたつのスキルが身につきます。
特許関連の法律知識
特許関連の法律には「特許法」があります。特許法には、特許を取得するための手続き方法や基準が記載されており、特許事務の仕事をすることで詳しくなります。仕事を始めたばかりのころは難しく感じるものの、経験を積むことで特許取得には何が必要であるか判断できるようになります。さらに必要な法律知識を加えると、知見が広がります。
語学力
勤務先によっては、海外への特許申請を行う機会があります。海外の担当者や申請事務所とのやり取りをすることで、英語など外国語を使うため、語学力が身につきます。海外の特許申請の経験を積むことで、クライアントに各国で異なる制度内容のアドバイスができるでしょう。出願経験のない国の申請を担当すると、さらに経験値は向上します。
特許事務の仕事に就くには?
特許事務の仕事に就くには、特別な資格は不要です。未経験からであってもチャレンジできる職種です。そのため、アシスタントなどの経験を積みながら、基本知識を身につけることがおすすめです。ただし、特許の流れなど基本事項は事前に学んでおくと、実務でどのように働くかイメージしやすくなるでしょう。
特許事務の志望動機でアピールしたいポイント
特許事務の仕事に応募する際は、業務や応募先で活かせる資格やスキルの洗い出しから行うとよいでしょう。英語が得意であれば、海外の特許申請に活すことができますし、営業スキルがあれば、他社とのライセンス交渉に重宝します。応募書類の作成や面接時には、自身の経験やスキルを業務でどのように活かすことができるか、明確にアピールすることが大切です。
特許事務の仕事に活かせるスキルや資格
特許事務の仕事には、WordやExcel、PowerPointなどの基本的なパソコンスキルが必要です。また、海外出願を担当する場合は、英語などビジネスレベルでの語学力が求められることもあります。パソコンスキルを証明する資格には、MOSや日商PC検定があります。また、秘書検定についても実務力がアピールできるでしょう。また、英検やTOEICなどは、英語力を客観的に証明するための指標になります。
特許事務の仕事に向いている人
特許事務の仕事に向いている人には、以下の3つのポイントがあります。当てはまるかどうか確認してみてください。
細かい作業を正確に処理することが得意
特許事務の仕事は、法律と照らしあわせて書類をつくるなど、細かな作業を正確にできることが求められます。また、期限を守ることも重要であるため、複数の案件を同時に進めることができるマルチタスクやさまざまなルールに対応ができる柔軟性があると重宝されるでしょう。
事務職の経験がある
特許事務は専門性の高い事務職ですが、一般事務などの経験を活かすことができます。特許の出願には書類の作成や申請なども必要なため、文書作成の経験や各種手続きの経験も活かせるでしょう。特許事務への転職者は、一般事務を経験しているケースも多いです。
語学力を活かしたい
語学力を活かしたいと考えている場合も、特許事務に向いています。特許事務の求人を募集している企業のなかには、海外の取引先が多かったり、日本以外の国での特許申請に対応しているケースもあり、そのような求人の場合は、語学スキルがある人材は貴重な存在です。そのため、語学スキル、さらに事務スキルがある場合には、特に海外特許事務に向いているといえます。
特許事務は約6割が未経験からスタート
特許事務は専門性の高い職種ですが、未経験者でもチャレンジできます。実際に6割ほどの方が未経験から特許事務に挑戦しています。未経験者であっても、入社後に先輩社員から業務を教えてもらい、徐々に特許申請の流れを学んでいきます。つまり、特許事務は保有している資格よりも実務経験が重視される職種のため、チャンスがあれば積極的にチャレンジして実務経験を積みましょう。
求人によっては「事務経験必須」や「パソコンスキル必須」などの場合があります。「未経験者歓迎」となっていても、欲しい人材は応募先により異なるため、注意が必要です。
特許事務の将来性
特許事務は、今後さらなる需要が見込まれています。その理由は、伸びしろが期待されるAIやテクノロジーの自動化に関する案件の増加です。日本は、AIなども含めたモノづくり大国であり、つくったモノの独自性を守るために特許の取得は必要です。そして、知的財産権の重要性を多くの企業が理解しています。以上の観点から特許事務は今後も必要な職種といえるでしょう。
特許事務のキャリアパス
特許事務でステップアップするには、実務をとおして専門知識を深めることが大切です。専門知識を深めることで、長期的に働く方も多くいます。また、女性が多く活躍しており、管理職を目指すことも可能です。管理職への昇進により、男女問わず高収入を得ることもできるでしょう。
特許事務で習得したスキルや知識を活かして、企業の知的財産部へ転職するケースあります。もちろん、特許事務自体が将来性の見込める職種であるため、長期的に活躍できるでしょう。
まとめ
特許事務とは、特許に関する事務業務全般を担う職種です。未経験から挑戦できる職種であり、多くの方がチャレンジしています。専門性も高く、将来性が見込める職業でもあるため、長期的に活躍できるでしょう。
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