エンジニアの仕事に興味があっても仕事内容がわからず、就職後の将来が不安な方もいるでしょう。この記事では、エンジニアの仕事内容や求められるスキル、将来性について解説します。
最後までお読みいただければ、業界の動向を把握してエンジニアに挑戦するかどうか判断できるようになるでしょう。
目次
エンジニアとは
エンジニアとは、電気や機械などの工学であるエンジニアリング分野の技術者を指します。仕事内容は、プログラムをスムーズに動かすためのシステム設計や運用、保守などです。
エンジニアは担当する仕事によって、大きく開発系エンジニア・インフラ系エンジニア・その他IT関連職の3種類に分類できます。
また、エンジニアの働き方にはいくつか種類があります。
● 自社サービス開発
● クライアントのシステムの受託
● SES
● フリーランス
クライアントのシステムの受託とは、取引先企業の受注を受けてからシステムを作ることです。SES(System Engineering Service)とは、外部企業に派遣されて特定の業務を担当することを指します。未経験者の採用が増えているSESは、研修制度も充実しているため、未経験者におすすめの働き方です。
DX化が進む現在ではIT人材のニーズが強くなっています。エンジニアもニーズが増えている仕事のひとつであり、一度専門技術を身につければ長く活躍できる仕事と言えるでしょう。
エンジニアの種類と仕事内容
ここからは、エンジニアの分類ごとに代表的な職種をピックアップし、その仕事内容について解説します。
開発系エンジニア
開発系エンジニアとして代表的な職種は、以下のとおりです。
● システムエンジニア
● プログラマー
● Webエンジニア
それぞれの仕事について解説します。
システムエンジニア
システムエンジニアは、提案・設計・開発・動作テストまでのシステム開発の一連の流れを担当する仕事です。SEやソフトウェアエンジニアとも呼ばれています。
システムエンジニアが取引先の社内システム開発を担当する場合、以下の流れで仕事を進めます。
● クライアントの要望をヒアリング
● 要望に合わせたシステムの提案
● 要件定義書・設計書の作成
● プログラムの開発
● システムのテスト
要件定義書とは、開発する理由や必要機能、システムの使い方などの仕様を文書化したものです。定義書によって、携わるエンジニアが取引先の要望に応じたシステムをスムーズに設計できるようになります。
システムエンジニアについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
システム開発とは?業務内容・年収・スキル・仕事に就く方法まで解説
プログラマー
プログラマーの仕事は、システムエンジニアが設計した定義書の内容をプログラミングすることです。
プログラミングだけではなく、システムが動かないときのバグを見つける仕事も担当します。バグが見つかると、システムエンジニアと協力してシステムが動くように修正します。
作成するシステムごとのプログラマーの種類は、以下のとおりです。
分類 | 作成するシステム |
WEB系 | ホームページ・スマートフォンアプリなど |
オープン系 | 在庫管理・営業支援システムなど |
制御系 | 家電製品・自動車など |
汎用系 | 大型コンピューターを使うシステム |
システムによってPHPやJavaといったプログラミング言語が異なるため、分野に合わせた言語の習得が必要です。
Webエンジニア
Webエンジニアは、Webで提供されるシステムやアプリケーションの開発・保守に携わるエンジニアです。主な仕事は、プログラミングやコーディング、公開後の保守などです。
Webエンジニアは、担当する業務内容によって、フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの2つに分けられます。
フロントエンドエンジニアとは、システムの操作やデザインに関するコーディングをおこなう仕事です。デザイナーが設計したシステム上の検索窓や、問い合わせフォームやログインなどのボタンなどをコーディングします。
バックエンドエンジニアの仕事は、データべースや動作の管理といった目に見えないバックエンドの開発をすることです。データベースへの保存、データ処理の実装、バックエンドシステムの運用・保守を担当します。
フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの業務は関わる部分が多く、活躍するためには両者の知識が求められます。
インフラ系エンジニア
インフラ系エンジニアは、以下の種類などが挙げられます。
● ネットワークエンジニア
● データサイエンティスト
● セキュリティエンジニア
● サーバーエンジニア
それぞれの業務について詳しく解説します。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、ネットワークの構築や管理、保守に特化した仕事です。サーバーエンジニアが構築したサーバーに基づき、ネットワークを構築します。
ネットワークエンジニアの求人では、設計・構築と保守・運用に分かれている場合があります。初めてネットワークエンジニアに挑戦する場合は、保守・運用を担当するケースがほとんどです。活躍するためには、サーバーやクラウド、無線LANに関する知識が求められます。
ネットワークエンジニアに興味がある方は、以下の記事もご覧ください。
ネットワークエンジニアに必要なスキルとは?仕事内容や求められる知識、おすすめの資格もご紹介
データサイエンティスト
データサイエンティストとは、大量のデータを収集、解析、解釈する専門家です。情報工学や統計学などをデータと組み合わせて、課題解決に向けた情報を提供します。
データサイエンティストは、以下の流れで業務を進めます。
● データ収集
● 仮説の考察
● データ解析
● 仮説の検証
● レポートの作成
分析の際に仮説の検証が必要な理由は、膨大なデータをやみくもに探すだけでは課題解決に向けた情報が手に入れられないためです。
データサイエンティストと似ている業種に、データエンジニアがあります。データサイエンティストとデータエンジニアの違いは、担当する業務です。データサイエンティストは、データ収集~レポートの作成まで一環して携わることに対して、データエンジニアはデータ収集や分析のためのデータ処理などをおこないます。
しかし、実際の業務ではデータサイエンティストとデータエンジニアを兼務するケースも少なくありません。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、サーバーに関するセキュリティに携わる仕事です。仕事内容は幅広く、以下の業務をおこないます。
● サーバーの構築・運用・保守
● セキュリティを考えたシステム設計
● サイバー攻撃を防ぐためのリサーチ・対策
取引先からの問い合わせに対応するため、コミュニケーション能力も求められます。また取引先の重要情報を取り扱うケースが多く、倫理観が必要不可欠な仕事です。
セキュリティエンジニアに求められる知識は、独立行政法人情報処理推進機構が「IPAスキルマップ」として公表しています。IPAスキルマップで必要とされている知識は、セキュリティマネジメントやシステムセキュリティ、サイバー攻撃に関する知識などです。
セキュリティエンジニアの仕事や年収、求められるスキルが気になる方は、以下の記事を参考にしてください。
セキュリティエンジニアとは?仕事内容・年収からキャリアパス・なり方まで
サーバーエンジニア
サーバーエンジニアの仕事内容は設計や構築、運用などサーバーに関する幅広い業務です。
サーバーの設計は、取引先の目的に合わせたサーバーのスペックや台数の調整などをおこなうことです。
いずれかのサーバーにトラブルが起きても、サービスを提供できる冗長化の考え方が重要となります。IT業界における冗長化とは、予備サーバーを用意しておくといった余裕がある運用を心掛けることです。また、負担を分散化させてサーバーダウンを防ぐことも大切です。
構築では、アプリケーションのインストールやネットワークケーブルの配線などをおこないます。運用時のマニュアルの作成やトラブル発生時の対応も仕事のひとつです。
サーバーエンジニアについて興味がある方は、以下の記事を参考にしてください。
サーバーエンジニアの仕事とは?ほかのエンジニアとの違いや必要なスキルを解説
その他IT関連職
その他のIT関連職として挙げられるエンジニアの職種は、以下のとおりです。
● セールスエンジニア
● フルスタックエンジニア
それぞれの業務について詳しく解説します。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは、技術の知識を活かして営業をする仕事です。セールスエンジニアは、フィールドアプリケーションエンジニア(FAE)とも呼ばれています。
主な仕事は取引先と商談をおこない、システム導入をすることです。一般的な営業との違いは、エンジニアとしての知識を分かりやすく説明するところです。
セールスエンジニアの仕事は、営業スキルと自社商品に関する知識、エンジニアとしての知識が求められます。競合他社に比べて自社の商品が取引先の課題に対して、ピンポイントでマッチするのかをわかりやすく伝える必要があるためです。
セールスエンジニアの仕事を詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
セールスエンジニアとは?業務内容・年収・スキル・仕事に就く方法を解説
また、企業によっては、機械の機能を制御するソフトウェアを組み込む「組み込みエンジニア」、テストの契約や改善などをおこなうテストエンジニアの仕事などがあります。
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアは、システム開発や運用に関する知識や技術経験が豊富な技術者です。システム・ソフトウェア開発の設計や開発、運用の仕事を担当します。
フルスタックエンジニアは豊富な知識とスキルの高さから、ほかのエンジニアに比べると年収が高くなる傾向があります。1人で設計から保守まで担当するため、仕事がハードになることが少なくありません。ただし、IT人材不足の現状や、1人で上流から下流工程まで対応できることから需要が高くなっています。
エンジニアに求められるスキル
エンジニアには、以下の4つのスキルが求められます。
● 専門技術
● コミュニケーション能力
● マネジメント能力
● ものづくりへの興味
それぞれのスキルについて詳しく解説します。
専門技術
エンジニアは技術職であるため、ITに関する以下のような幅広い知識が必要です。
分野 | 内容 |
ハードウェア | コンピュータの構成要素であるプロセッサやメモリなど |
ソフトウェア | OSや開発ツールなど |
ネットワーク | ネットワーク管理、通信プロトコルなど |
セキュリティ | 種類や管理方法など |
データベース | データ処理、設計手法など |
また、ITに関する専門知識やプログラミング言語の知識も必要です。業界初心者はまず1つでも得意な言語を習得したうえで、ほかの言語の知識を身に付けましょう。
さらに技術は日々進歩しているため、最新の情報をいち早くキャッチしてアップデートする必要があります。
コミュニケーション能力
エンジニアは一人で作業を進めるのではなく、チームで仕事をおこないます。ミーティングで意見を出したり、チームメンバーに指示を出したりするときには、コミュニケーション能力が不可欠です。
また仕事によっては、取引先へのヒアリングやデザイナーとの調整などもおこないます。顧客によっては自社の抱える問題を言語化できなかったり、先方の要求に対する調整をしたりするときにも、コミュニケーション能力は必須のスキルと言えるでしょう。
マネジメント能力
エンジニアの経験を重ねるに連れて後輩の指導だけでなく、プロジェクトマネージャーの仕事をすることもあるでしょう。
プロジェクトマネージャーは、QCD(Quality・Cost・Delivery)を管理して、チームの成果を上げることが仕事です。
チームとしてのスケジュール設定や進捗確認、トラブル対応などをする必要があります。マネジメント能力があれば、エンジニアからチーム全体の管理職までキャリアパスが開けるでしょう。
ものづくりへの興味
エンジニアの業務は、ものづくりと多くの共通点があります。
エンジニアの仕事のやりがいのひとつに、携わったプログラムが完成し、人々の役に立った瞬間があります。ものづくりにやりがいを感じられれば、エンジニアとして活躍できるでしょう。
また、IT業界の知識は移り変わりが早く、常に情報をアップデートし続けなければなりません。プログラミングやシステムについての興味があれば、専門的な知識を身につけるのも苦にならないでしょう。
エンジニアの将来性
エンジニアを含むIT人材は、人手不足が大きな問題になっています。そもそも日本の高齢化社会が進むにつれ、2036年には国民の33.3%が65歳以上の高齢者になり、労働人口の不足が深刻化すると予測されています。
2016年の経済産業省の調査によると、2030年には45万人のIT人材が不足すると発表されました。特にITエンジニアの不足が懸念されており、企業は給与の増加や福利厚生の充実などを図り、人材確保に努めています。小学生に対するプログラミング教育の必修化も、エンジニア不足の深刻さを示しています。
国を挙げて取り組んでいるDX化は、企業が市場で勝ち抜くためにはDXの推進が必要不可欠です。2018年に経済産業省が発表したレポートでは、DX化を推進しなければ競争力が低下し、2025年には2018年の3倍、約12兆円もの経済損失が損失になると予測されています。
DX推進のためにIT人材のニーズは、よりいっそう高まるでしょう。エンジニアになったあとも、使える言語や専門技術を身に着け、仕事の質を高められれば、将来性がある仕事といえます。
参照:1 高齢化の現状と将来像|令和2年版高齢社会白書(全体版)
IT人材需給に関する調査(概要)
DXレポート(サマリー)
エンジニアの年収
エンジニアの年収は正社員で456万円、年収からボーナスを考慮せずに計算すると月収は38万円程度です。
一方で、エンジニアの派遣社員の時給は2,283円です。1日8時間、月20日勤務と仮定すると、派遣社員の月収は365,280円、年収は438万3,360円となります。
職種 | 正社員の年収 | 派遣社員の時給 |
Webエンジニア | 503万円 | 1,991円 |
サービスエンジニア | 501万円 | 2,197円 |
システムエンジニア | 496万円 | 2,299円 |
セキュリティエンジニア | 458万円 | 2,540円 |
エンジニアの年収は、Webエンジニアやセキュリティエンジニアなどの仕事を平均化したものです。エンジニアのなかでも、Webエンジニアやサービスエンジニアなどの仕事が正社員としての年収が高くなりやすいことがわかります。
ただし、このエンジニアの給与はあくまでも平均値であり、エリアや経験によって給与は変わるため、あくまで参考にとどめてください。
IT業界の仕事が気になる方は、以下の記事をご確認ください。
IT業界の職種とは?仕事内容、将来性、年収なども解説
参照:ITエンジニアの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)
エンジニアになるには
エンジニアになるには、あらかじめプログラミングやIT分野に関する知識を身につけていく必要があります。専門知識は、以下の方法で身につけましょう。
● 教材や動画で学ぶ
● スクールを受講する
● 支援制度が整った会社に入社する
それぞれの方法や特徴について詳しく解説します。
教材や動画で学ぶ
プログラミング言語やシステム構築を独学で学ぶ方法として、教材や動画を利用することがあります。体系的に学ぶ場合は教材、特定の分野を集中的に学びたい場合は動画が適しています。
教材や動画は、通勤時間や家事の隙間時間を活用でき、忙しい方にも便利です。ただし、独学では質問ができず、自己管理が必要なため、知識を習得するまでに時間がかかる可能性があります。
スクールを受講する
体系的に学びたい場合は、スクールを受講することも方法のひとつです。3ヶ月程度の講習を受けると、エンジニアに関する基本的な知識が身につけられるでしょう
スクールでは担当講師からの課題といった強制的な学習システムがあるため、スケジュール管理が苦手な方にもおすすめです。ただし、20~60万円と比較的高額な費用がかかることも多く、受講するときは費用を回収できるのか考えてから申し込みましょう。
企業の支援制度を利用する
未経験者向けの支援制度が整った会社に入社したり、エンジニアになるための研修が用意された派遣会社に登録したりすることで、テクニカルスキルを身に着けることが可能です。
マンパワーグループでは、未経験からでもエンジニアを目指すことができる「SODATEC
」というプログラムを用意しています。10日間、72時間にわたってオンラインでしっかりと学べるため、エンジニアとしての基礎知識が身につきます。
未経験から育てることをテーマとするUZUZ社と協業したプログラムのため、初めての方でもつまづかずに進められるでしょう。
SODATEC
エンジニアとしてのキャリアパスについて
エンジニアの主なキャリアパスは、以下のとおりです。
● マネージャー
● スペシャリスト
それぞれのキャリアパスについて詳しく解説します。
マネージャー
マネージャーとは、開発チームの進捗やトラブル解消などのマネジメントをおこなう仕事です。プロジェクトを担当することもありますが、チームや部署全体といった大規模な管理を任せられるケースが多いです。
マネージャーになると、システム開発の最前線のエンジニアとして仕事をする機会は少なくなります。その代わり、管理職としての採用業務や人員調整、経営会議の参加などの仕事が増えます。
マネージャーを目指す方は、エンジニアとして実績を積んだあとに、チームマネージャーとしてマネジメントに挑戦すると良いでしょう。マネージャーとしてプロジェクト管理を身につけたあとに、フリーランスとして独立したり、会社を立ち上げたりする人も少なくありません。
スペシャリスト
スペシャリストとは、特定分野の技術に特化して専門性を高めた仕事を指します。スペシャリストの仕事は、豊富な知識や経験が必要なシステムの実装担当やチームの責任者などです。エンジニアとして働きながら、企業の戦略設計や実行に関わる人も少なくありません。
専門分野を持つことから、セキュリティスペシャリストやサーバースペシャリストなどの肩書きで呼ばれます。企業によっては、スペシャリストとして昇進すると最高技術責任者(CTO)やテックリードの肩書きを与えられることもあります。
まとめ
エンジニアの仕事は、システム設計や運用、保守など多岐にわたります。担当する業務によって、システムエンジニアやサーバーエンジニアなどの職種があり、それぞれの職種には、特定の専門知識やスキルが求められます。
IT人材の不足と、今後さらに進むDXの推進を背景に、エンジニアは将来性のある職業といえます。企業は人手不足を解消するために、待遇を改善しているケースも少なくありません。
未経験からエンジニアに挑戦したい場合、派遣社員としての就業も一つの方法です。入社後に挫折しないために、あらかじめ専門知識を身につけることも重要です。
マンパワーグループが提供する「SODATEC」では、無料で10日間の研修を受け、その後に就職先の斡旋サービスを利用できます。この研修プログラムは、未経験者が学習でつまずくことを前提に設計されており、しっかりとスキルアップができるようになっています。
マンパワーグループには、未経験から第一線で活躍するエンジニアも多数在籍しています。興味のある方は、以下のリンクから詳細を確認してください。
SODATEC