秘書とは
秘書は上司が本来の仕事に専念できるよう、社内外の対応および事務業務を担う職種です。秘書がサポートする上司は、企業および団体の役員や経営陣、政治家、弁護士、医師などです。業務内容は上司によって異なりますが、上司をサポートする点は、すべての秘書に共通しています。
秘書の仕事内容
「企業秘書」「医療秘書」「法律秘書」のように、秘書にはさまざまな種類があります。上司の職種によって業務内容が異なるため、秘書の仕事は多岐にわたります。ここでは、秘書が担う基本的な業務に関して、例を挙げて解説します。
スケジュール管理
「上司の予定を把握・管理することは、秘書の重要な業務のひとつです。社内外で行われる会議や、他社の重役との会合など、秘書が把握しておくべきスケジュールは多岐にわたります。また、急な予定変更や重複が起こった場合は、予定の優先順位を決めて、スケジュールを調整する必要があります。
電話・メール対応
上司に届く電話やメールへの対応も、秘書が担う業務のひとつです。電話対応やメールへの返信を代理で行うケースも多く、上司にとって必要な情報かどうかを判断し、報告したり、取り次いだりする判断力も求められるでしょう。秘書自身が判断する場合は、内容の重要性はもちろん、緊急度に応じて柔軟に対処する必要があります。
来客対応
上司宛の来客対応も業務に含まれます。来客を案内し、会議や会合が開かれる場合には、お茶やコーヒーを出します。また来客を迎える部屋を確保し、打ち合わせ用の資料を作成するなど、上司と来客どちらにも配慮しなければいけない場面が多々あります。秘書の対応次第で、上司の印象が左右されるため、ビジネスマナーをわきまえた行動が求められます。
文書作成・管理
秘書は業務連絡・報告書などの社内向け文書や、会議などで必要となる資料の作成・管理業務も担います。またお礼状やお詫び状など、社外文書の作成も、秘書自身が必要だと判断した場合は自発的に行います。上司から資料を確認したいと言われる機会も多いため、管理方法には、細心の注意をはらいましょう。
出張手配
上司に新幹線や飛行機などを使った出張の予定が入った際には、秘書が交通機関や宿泊先の予約を行います。上司が現地でタクシーなどを利用する場合も、秘書が移動手段を確保するのが一般的です。出張先で会議やイベントへの参加があれば資料を準備し、さらに上司の出張に同行する社員のスケジュールも把握しておく必要があります。
環境整備
秘書の業務内容には、上司の部屋や会議室の掃除、空調管理なども含まれます。上司や来客が快適に仕事に専念できるよう、備品や設備管理を任されることも多いです。上司の部屋や応接室の環境を定期的に整備し、清潔感を保っておくことで、上司が居心地よく働けて、来客からも好印象をもたれる空間となります。
秘書になるには
ここでは、秘書になるために求められる条件について解説します。資格もご紹介しているため、参考にしてください。
実務経験を積む
秘書は企業の重役から医師や弁護士まで、さまざまな業界で上司の業務をサポートする職種です。就職先は豊富にありますが、業界・職種に関わらず、上司をサポートするには、ビジネスマナーや内部事情、および業務内容への深い理解が求められます。そのため、新卒で秘書職の採用は難しいと考えてよいでしょう。秘書になった人には、総務・経理などの部署で、事務職の実務経験を積んでから、秘書課に異動したケースが多い傾向にあります。また、派遣社員として秘書を採用する場合もあります。
資格を取る
秘書を目指すにあたって、資格は必須ではありません。しかし、応募する際に有利に選考が進んだり、秘書業務に関する知識を習得できたりもします。ここでは、おすすめの資格を3つご紹介します。ぜひ参考にしてください。
秘書技能検定
秘書技能検定は、3級から1級までの段階が設けられた民間資格です。文書作成、ファイリング、スケジュール管理の能力が問われます。秘書業務をこなせる知識や、ビジネスマナーなどを身につけていることが客観的に証明できます。
CBS(国際秘書)検定
ビジネスレベルの英語力や、経営管理などの専門知識が試される資格です。合格するとバイリンガル秘書として、活躍できる幅が広がる可能性あります。外資系企業で秘書業務に就きたい人は、CBS検定の受験を検討するとよいでしょう。
TOEIC
英語力の習得レベルを示す指標となる資格です。外資系企業や、グローバルに展開している企業で秘書職に就きたい場合は、高得点を獲得していると活躍の場が広がります。また、英語力で上司の業務をサポートできると自信にもつながるでしょう。
秘書に必要なスキル
ここでは、秘書に必要なスキルを、4つの観点からご紹介します。自身に備わっているかどうかをチェックしてみてください。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、上司との信頼関係を築くために重要です。また、社外の要人と接する機会も多いため、取引先に与える印象も大切です。取引先の顔や名前を把握するのはもちろん、業界事情などを取り入れてコミュニケーションを取ると、上司と顧客との信頼関係の構築により貢献できるでしょう。
情報処理のスキル
秘書が把握するべき情報量は膨大です。情報を集めて、上司に提示しなければならない場面もあり、上司から見て役立つ情報かどうかを、判断することもあります。また、膨大な情報量に対して適切な優先順位をつけて、必要なものから対応していく能力も求められます。情報を取捨選択し、筋道を立てて説明する力も求められるでしょう。
パソコンスキル
文書および資料作成の場面では、Word・Excel・PowerPointなどのツールを、スムーズに操作できるパソコンスキルが必要です。単に文書を作成するのではなく、相手から見て分かりやすい資料を作成することが求められます。機密事項を取り扱う業務も多いため、情報管理・処理を行えるスキルも必要です。
語学スキル
国内企業も海外市場に進出し、海外との取引が増えています。そのため、海外進出を視野に入れている企業で秘書業務に就く場合は、語学スキルを求められる場面が必然的に多くなります。また、海外市場の動向調査や異文化交流の一環として、情報収集を行うケースもあることから、外国語が堪能な秘書は重宝されるでしょう。
秘書の平均給与
秘書の平均年収は351万円程です。20代は336万円、30代は407万円というデータから、年代によって平均年収に差があることがわかります。平均年収の上昇幅が大きい理由としては、実務経験の多さが高い評価につながっていることが挙げられます。また、大学卒業レベルの学歴を求める企業が多いのも特徴的です。
※参考:職種別平均年収ランキング マイナビエージェント
秘書の求人倍率
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、令和2年4月における、秘書職を含む一般事務の有効求人倍率は0.27倍です。また、一般事務を含む事務的職業全般の倍率が0.36倍という結果から考えると、秘書職が属している、一般事務の社会的な需要は高いことがうかがえます。